SS 2
なんとまぁ、無責任なことを言ってくれたもんだ。そう言ったそいつは真直ぐに俺の目を見て、自分が何を言ったかわかってんのかね。わかってないな、とこの男のいやに澄んだ目を見て思う。なんてこった、こりゃ性質が悪い。好きかもしれない、だなんて。知ったこっちゃない、好きだというのならまだしも、かもしれない。かもしれない?要は(この胸の高まりは…もしや、恋…?)状態な訳だ。そんな状態で持ってこられてもね、それは恋ではないかもしれないのだよ、青年。お前のことなんて好きじゃないんだからな!ってあれ、なんだ?ツンデレとかいうあれ、あれな訳でもないらしい。と、この男の言ってやったみたいな態度から思う。だからなんだ、何だと言うのだ。俺は男で、お前も男で。まぁ俺はゲイで、お前はノーマルで。(同族はわかる、なんとなく。)お前はあれ、守ってあげたくなるような女の子が好きなんじゃねーの。例えばあの、ちっちゃくてかわいらしい白い髪が綺麗なあの子とか。よりによってこんな、俺みたいな細くも女顔でもねえ男に血迷わなくても。おまけにこっちはゲイときてる、ツいてなかったなぁ、俺がノンケだったら本当に気の迷いで済んだのに。じい、とこちらを見たまま動かないそいつに(返事でも待ってるつもりか?かもしれない、くせに?)すっと歩み寄る。ばかだなぁ、ほんとわかってないよ、お前。
「ん、じゃあ、付き合おっか?」好きってーのは、こういうずるいもんなんだよ。