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忍文 お題短文1

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※短文詰め合わせです。
※上から滝→こへ、仙文、鉢雷、長仙、文伊





〇はじめまして

初めて見たのはいつだったか。
1年の時にはもう知っていたようにも思う。何せ目立つ人だったのだ。
あの凄まじい馬鹿力は彼が3年生の時点で既に耳に入るほどだったし、それでなくともあの性格だし声も大きい。
喧しくて粗暴で無神経そうで、とてもじゃないが相容れないだろうと思っていた。
なのに何の因果か。
「先輩っ!落ち着いて!落ち着いてください!!」
こうやって予算会議のたびにいきり立つ彼にしがみついて押さえ込むようになって、早どれくらいだろう。
本当に人生というのはよくわからない。
やはり初めて顔を合わせたときの「滝夜叉丸か!宜しくなっ!」というあの満面の笑顔にほだされたに違いない。

(滝→こへ)




〇秘めごと

まぁ、吹聴する話でないことは確かだった。
ましてや学園生全員が一つの長屋暮らしというこの状況。
どこからどう話が漏れて発展するかわかったものではない。下手をすれば退学ものだ。
「そこを上手くやるのが面白いのだろう?」
わざと息のかかる距離まで擦り寄ってそう囁くと、眉間に更に皺をよせるから尚のことやりたくなる。
「もうすぐ卒業だというのに何を言ってるんだ。気は確かか?」
「時期を考えてできるものは、恋などと呼ばんさ」
笑って唇を寄せる。
少しの抵抗もされないことに、喜びを感じるべきか。
いいや、少し、もの足りない。

(仙文)




〇鬼

「うわぁ、すごいね」
「だろう?どこぞの有名な細工師の作品らしい」
真っ赤に塗られた禍々しい鬼の面。まるで絵画から抜け出たような荒々しさだ。
するり、と三郎がその面をつける。
「どう?」
「・・・・・なんだか酷く恐ろしい。まるで三郎がその面に乗っ取られてしまいそうで」
不安げな声を出す雷蔵に、三郎は面を外さないまま笑う。
「私は私のままさ。何かを被ってるのには変わりない」
「とって」
ふいに強い語調で言われ、何事かと面を外せばいきなりに抱きつかれた。
「雷蔵?」
「・・・鬼になど、ならないで」
一層しがみついてくる腕を、あやすように叩く。
どうしてこうも、鋭いのだか。

(鉢雷)




〇雨

雨の降ることは予測の範囲内だった。
それでもそれを無視して準備したのは、降る前に帰り着く自信があったからだ。
それなのに自分ときたら。なんという体たらく。
右上腕にまた血が染み出してきたのを見て苛立ちの隠せない溜息をつくと
「縛りなおすか」
と、声をかけられた。滅多に聞くことのない重低音は雨の中の掘っ立て小屋の中であるからなのかよく響く。
じっと見つめられることに耐え切れなくなり、半ば自棄で頷くと、ゆっくりと腕をとられた。
「軽くでいい。大した傷ではない」
「ああ」
「それよりも使い物にならなくなった火薬の方が残念だ。苛立たしい」
「ああ」
「・・・今回は私の失態だった。巻き込んですまなかったな」
聞いているのだか聞いていないのだかわからない返答を返すものだから、謝罪の言葉もするりと出る。
長次はきっちりと結び終えてから「気にするな」と一言だけ。
お前がそんなものだからこちらもこうもらしくない。

(長仙)




〇ドクター

専任の校医がいるというのに何故いつもいつも詰めているのかと問えば、決まり文句のように保健委員だから、と返される。
保健委員は何かと保健委員だろう、と言われてあれこれ押し付けられていることが多いが、こいつのこれもそれによるものだろうか?
擦過傷の酷い脛を見せると、当たり前のように手際よく治療が施されていく様に素直に感心する。
と同時に、そんなことにかまけているから成績が伸びないのだ!と叱り付けたい気持ちも込み上げてくる。
決して酷い成績ではないが、それにしたってもう少し精進しなければ雇ってもらえるかどうか。
一体これからどうするつもりなのだろう。
聞いてしまえばきっと自分の気を騒がすだけの返答しか得られない気がして、じっと澱みない手元を見つめるだけしかできなかった。

(文伊)


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080812
「モノカキさんに30のお題」(配布終了)よりお題拝借して書いたものからいくつか
作品名:忍文 お題短文1 作家名:sera