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【ゆきさくら新刊サンプル】秋桜【沖+斎+千】

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太陽が中点を越えてしばらくの後。
千鶴はそっと部屋の外の様子を伺った。
少し前に確認した時、監視役は平助だった。
彼は幹部の中でも千鶴に対して友好的な人物だ。
年が近いためか、気さくに話しかけてくれる相手でもある。
そんな相手だからこそ、千鶴は意を決して、現在置かれている状況を考えると図々しい言葉を口にしようと思うことが出来た。
そろりと窓を開けて、千鶴は口を開いた。
「あの…っ、平助くん! お願いしたいことがあるの!」
うつむきながらではあるものの、何とか口に出来た言葉。
けれど返ってきた声も反応も、千鶴が予想したものとは異なるものだった。
「へぇ…」
「…っ、お、沖田さん?」
「うん、沖田総司です」
人好きしそうな笑顔を向けてくる青年。
斬る、という物騒な単語が口癖に目の前の人物は、千鶴が苦手とする人物の一人だ。
「で、何? お願いって」
「な、なんでもないです!」
「なんでも無かったらあんな言い方はしないんじゃない? ほら、言ってみなよ。どうせ平助には言うつもりだったんでしょ? だったら誰に言っても一緒だよ」
にやついた笑みを浮かべながら、沖田は千鶴に先を促した。
笑顔を浮かべてはいるが目は全く笑っていない。
そんな彼の表情は、千鶴の答え方次第で変わるだろう。
この状態で更に冷たい表情を向けられたりしたら、恐怖以外の感情は生まれないだろう。
だから、千鶴は彼の機嫌を損ねないよう、平助に伝えようと考えていたことを彼に伝えることにした。
「洗濯を…」
「なに? 声が小さく聞こえないんだけど」
からかうような沖田の言葉。
けれど、千鶴は気にせずに話し続けた。
「洗濯、させてもらえませんか」