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狗の上下関係

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「大佐って、どんな焔も変幻自在、自由自在なんスか?」
「何だ、行き成り」
「いやぁ、あーんなデッカイ焔しか錬成出来ないのかなぁ、と思って」
「あんなデカイ、とは?」
「だからテロリスト諸共ビルを半壊してくれて、後処理やら苦情やら色々やらされて二週間は缶詰状態でデートも碌に出来なくて、挙句に『仕事と私、どっちが大事なの?!』って引っ叩かれちゃった思い出深ーい事件ですよ」
「それは何だ?私に対するあてつけか?そもそも文句を言う相手を間違ってるぞ、ハボック」
「へーへー。で、どうなんですか?」
「出来るに決まってるだろう。私を誰だと思ってる」
「焔の錬金術師 ロイ・マスタング、大佐」
「分かってるなら一々詰らん事を聞くな」
「いやだって、実際見てみない事には分からないでしょう。実はノーコンかもしれないし」
「消し炭にされたいか?」
「いやいやいや!滅相も無い!!!」
「なら早く仕事に戻れ」
「へーい」
「待て、ハボック」
「何スか?まだ何………大佐」
「彼女に振られてまで働いた功を、労うのも悪くはないかと思ってな」
「最初は余計です」
「間違っては無いだろう?ほら、早く戻れ」
「……大佐」
「何だ?」
「火、どうも」
「何、礼には及ばん。私の焔は高いからな。ツケはこれから払ってもらうよ」
「はぁ?!ツケって何スか!!労を労ってじゃなかったんすか?!」
「それを補って有り余る程、私の焔は貴重だと云う事だ。そもそも下っ端の分際で何も無いのに焔を練成させるなどもっての他だ。分かったらさっさと行かんか」



(こんの性悪上司――――!!!)


end.

*思ってても口には出せない狗気質(笑)
作品名:狗の上下関係 作家名:真赭