約束ごと。
遠い遠い、前の話。お前としたひとつの約束。
覚えてるか。鬼道-。
『いつか離れてしまっても、お互いだけを愛し続ける』
そんな事言ったなと思い返していた不動明王は、
隣で寝ている愛しい恋人・鬼道有人を見ていた。
鬼道は覚えているかどうかなんてわからない約束ごとを
ずっと一人で延々と考えているのが何だか馬鹿馬鹿しいなと思ってきた不動は、
鬼道を起こすことにした。
「鬼道・・・。そろそろ起きろ、朝だぞ。と、言ってももう昼だけどな。」
「う・・・・ん・・・。」
あまり起きる気が無いらしい。不動は少しばかり呆れたが、
鬼道の耳元で呼びかけた。
「・・・有人。起きろ。」
そういった瞬間、飛び起きて鬼道は不動にキスをした。
そして少し笑いながら、
「おはよう、不動。・・・明王?」
少し疑問系に「明王」と呼んだ鬼道が酷く愛しく感じた不動は、
思わず抱きしめてしまった。
「なんだよ、どうしたんだ?いきなり・・・・。嬉しいけどな。」
少し照れた様子の鬼道に今がチャンスとばかりに先程ずっと考えていたことを聞いてみよう、そう考えた不動は鬼道に聞いてみた。
「なぁ、10年前に約束したこと。・・・・・覚えてるか?」
そう不動は聞いた。
鬼道はきょとんとしていた。もしかして忘れているのかと不安になる不動をよそに
鬼道は微笑んで、
「忘れるわけ無いだろう?『もし離れてしまってもお互いだけを愛し続ける』だろう?
当たり前だ。お前が来週アメリカに行って、1年、10年帰ってこなくてもお前だけを
愛してるから安心して行ってきてくれ。」
覚えていてくれた嬉しさから涙が頬を伝っていた不動は、鬼道に感謝の意味も込めて、
「・・・有人。お前だけを愛してる。これからもずっと。」
そう囁いた。それに応えるかのように鬼道も言った。
「明王、俺もお前だけを・・・・・」
言いかけた鬼道に不動はキスをした。
お互いの愛を確かめ合うかのように-。
「鬼道」
「ああ。」
― 愛 し て る 。 -
* e n d *