甘い、夢。
何度か諦めた苦い夢は。
どこに行ってしまったのだろう。
行く先も明日にはまた忘れてる。
嘲笑う声は消えなくて。
罪悪感だけ残ってて。
痛いだけ。
痛い。痛い。いたい・・・・。
歩けないんだろう?動けないんだろう?
弱虫な俺。
弱いな。弱いな。嫌だな。
嫌われちゃう。皆に。源田に。
嫌だ。嫌だ。それだけは。
避けたい。嫌われたくない。やだよ。
源田・・・・源田・・・っ!
「佐久間っ!しっかりしろ!佐久間っ!」
名前を呼んでるのは源田だった。
余程、魘されていたのだろう。
自分でも気付くほどのひどい汗だった。
「・・・あぁ。平気・・・だ・・・。」
あまり心配させたくない。それだけだった。
「そうか・・・。無理はするなよ。まだ足治ってないんだから。」
「うん。有難うな、源田。そういえば鬼道たちは?」
そういうと、窓の外を指を指して、
「鬼道なら、円堂たちと外に行ったぞ。お前が寝てたから、一人にしとくのも
嫌だから、俺だけ残ってたんだ。」
源田が優しいのは知っていたが、ここまでとは。
「一緒に行ってもよかったのに。お人好しだな。」
と少しからかってみた。でも源田はあまり気にしていないようだ。
「お前が心配だしな。お前と一緒に居たかったし。何より、恋人だからな。」
恥ずかしいことを言ってくれるなとばかりに、顔が熱くなってくる。
「お前が大好きだよ。早く元気になれよな・・・・?」
「・・・・・・馬鹿。」
自分が思っているほど、現実はひどくない。
甘い甘い、苺のような。
夢は、続いていてもいいらしい。
もう少しだけ。
甘い時間が続けばいいな。
*END*