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偏愛skill

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この状況を修羅場と言わずしてなんと言おう。
床にだらしなく転がる無数の酒瓶と散らばる肴たち。
俺は半裸の状態で、みたらしアンコにディープキスをされ後ろからは森乃イビキが脇から手をまわして身動きできない有様。
アンコに咽ぶようなキスをされながら、この状況を愕然と見下ろす年下の恋人に心の中で手を合わす。
ちがうんだ、是には色々と事情がありまして.....
なんだか浮気現場をおさえられた旦那の気分。
ヤバいな。普段温厚な妻ほどブチきれるとやっかいだ。


最初に飲みたいと言いだしたのはアンコだった。
正直あまりのり気じゃなかった俺は断る理由をいくつか考えていると、これまた絶好のタイミングでイビキがやってきたわけ。
おかげで断る理由が二倍に増え、アンコの強引な性格とイビキの誘導尋問的会話により結局俺の家で飲むことになった。
ま、不本意だが全然おっけいだ。ただの同僚と飲むだけならな。
しかしただの同僚と思っていたのは俺だけで、この2人は違ったらしい。
飲み始めて一時間程たつとアンコの様子が少しおかしくなってきた。
シラフの時も若干テンションはハイな方ではあるがアルコールの力も加わってか、ハイにハイを重ねてハイなわけ。
アンコがしゃべるたびグラスになみなみ注がれた酒がグラグラと零れ落ちそうになる。
「カカシィ〜〜!!あんた暗部のヤツと付き合ってるらしいじゃないの〜!」
相変わらずのおおざっぱな出だしに思わず口に含んだ日本酒が逆流しそうになる。
「だ っ誰がそんなこと....」
唐突に始まった詰問に赤くなるのを誤摩化そうと一気に日本酒を煽ると、濃い液体が喉元を通過し胃がジワリと熱くなった。
「隣のサディストよ」
ニヤリと俺を挟んでそのサディストに笑顔を返す。
「らしいな、カカシ」
「はは...なーに言ってんのお2人さん」
そりゃそーだ。イビキは木ノ葉暗部拷問・尋問部隊隊長なんだからバレるのは時間の問題だ。
「で、誰よ?」
アンコが酔いで潤んだ瞳で俺を見上げる。
シラフの時と何ら変化のないイビキが意地悪く口の端を上げた。
「確か、コードネームは...」
「あーー酒がもうないんじゃなーいの」
とりあえずアンコをさっさと潰して黙らせようと、まだ封を切っていない酒を開けようと手を伸ばす。
するとその腕をガシリと黒い分厚い手袋に掴まれた。
「カカシ、言っちゃなんだが何故あいつなんだ」
イビキの真剣な眼差しにたじろぎそうになる。
なんだってコイツらこんなに必死なんだ。
「.....ははは」
両隣から詰め寄られ思わず降参しようかと思ったところ、またまたアンコがざっくりとした切り口で発言しだした。
「それなら、野球拳で勝負しましょうよ!」
「いや.....えっいきなり何?勝負って何の?」
「あんたの恋人当てよ。負けたら服脱ぎながら一文字づつ言いなさいよ」
「それは.......服脱ぐ意味ないよね」
「脱がなきゃ野球拳じゃなーい」
「そうだな、野球拳ではないな」
「なに普通に賛成してんのイビキ。止めて!」
俺の言葉には耳をかさずアンコは勝手に野球拳を唄いだし、しょうがなく俺は目の前の酔っぱらいに付き合わざるをえなかった。
アンコが出したのはグーで俺はパーだ。
よし、ひとまず安心と胸をなで下ろしているとアンコが上着を脱ぎだした。
「なっ、脱がなくていいって!」
「負けたんだから脱ぐわよ」
ええーーー。
イビキになんとかしてくれと目で訴えるとマイペースに酒をのんでいた大男が、またもや良からぬ事を口走った。
「なんだ。次は俺の番か」
待て待て待て待て。違うでしょーが、矛先が!
「カカシーー!次は負けないわよーーー!」
誰かコイツら止めて。そしてもういい加減、帰って。
今更ながら後悔のオンパレードだ。
「アウト!セーフ!よよいの....」
反射的にまたパーを出すと今度はアンコが出したのはチョキだった。
うふふと嬉しそうに俺に近づくと妖しく微笑む。
「最初の文字はなーに?」
「ん.....いや、それは」
言葉に詰まっているとアンコが俺の上着を胸元まで捲し上げ、下半身に股がってきた。
指先で俺の脇腹を撫で上げながら息が触れそうで触れない距離まで顔が接近する。
「言わないならディープキスするわよ」
ズイッと唇を口元までよせペロリと頬を舐められた。
するとそれを見ていたイビキが不満げに割って入ってきた。
「おい、アンコ飲み過ぎだ。カカシが言いたくないならそれでいいだろ」
「なによ。これからじゃないの」
バチバチと火花が散るようにお互い睨みあっている。
なんだかもの凄く居たたまれないんですが....
「あー........最初の文字は ”テ” だ」
仲間同士が険悪なムードになるのが苦手な俺は即座に明かした。

その一文字を聞いたアンコの表情が一変する。
「テンゾウね」
ズバリと当てられ変な汗が出そうだ。
「カカシの恋人もわれた事だし、そろそろお開きにしないか」
苦い顔で聞いていたイビキがアンコを宥(なだ)めるように肩に手をおいた。
その行動に便乗しようと、俺の上に居座るアンコに刺を持たせないよう言う。
「ほら、お開きだってさ」
ニコリと笑顔で見つめ腰を浮かそうとするとその腰を両手で押さえつけられた。
「なんでアイツなのよ」
さっきもこの質問聞かれた気がするが......テンゾウのやつ暗部内でなんかやらかしたのか。
う〜んと首を捻りながら考える。
なんでって言われてもね、惚れちゃったんだから仕方がない。
コイツにだったら殺されても構わないとか思っちゃったんだから尚更手に負えない。

「ま、なんとなくかな」
「その答え嘘ね。なんとなく男と付き合うなんて考えられない」
「俺が誰と付き合おうが関係ないでしょ」
もうそろそろ勘弁してくれと強引に立ち上がろうとするとグラリと景色が反転した。
床に倒され咄嗟に受け身をとるとその上からアンコが覆いかぶさってくる。
「あんたってホント鈍いわよね。忍としてのスキルは満点かもしれないけど、恋愛スキルは零点」
恋愛スキルなんて言葉初耳だが遠回しに人として大事なものが欠けてると言いたいのだろうか。
「アンコ、少しだまれ」
呆れたようにアンコを一瞥しなからイビキが俺を抱き起こそうと後ろから体重を支えるように両脇から手をまわした。
「イビキ、あんたこそ疼いてんじゃないの。色々尋問したくてたまらないって顔してるわよ」

....................沈黙。

おいおいおいおい。待ってくれこのムード。
恋愛偏差値が極端に乏しい俺でもようやく気づく。
なるほど、そういうコトね。
酔ってるふりをして相手の懐をつく。以外と女ってのはしたたかだな。
特に恋愛ごとに関しては策士だ。
なんて関心してたら俺の自由がきかないのをいいことにアンコが突然キスしてきた。
これも策士の手の内なのか、あっとゆう間に柔らかな舌に捕らえられる。
「んぅ」

そんな人生最悪のタイミングで俺の恋人が姿を現した。

作品名:偏愛skill 作家名:ユラン