変化。
なんとなく、おかしいとは思っていたんだ。
身体に思うように筋肉が着かなくなったし、疲れやすくなった。
同じくらいの奴らと違って喉が滑らかなままだったし、体つきだって………。
でも、それから目を逸らして、その可能性を考えないようにしていた。
認めてしまったら………………………
きっと、二度と戻れない。
それなのに、あいつに会ってしまった。
あのまま声を掛けなければ、知らないですんだだろうに。
あ、でも違うかな。
もしかしたら、あいつの言葉で確信したかったのかも知れない。
多分、そうだ。
だって、あの時から俺の胸は急にでかくなったから。
でも………………。
「それだけじゃなかったんだ」
漏れた声が他人事みたく聞こえる。
いまは、真夜中で俺の周りにはだれもいない。
心臓が壊れるんじゃないかってくらい大きく鳴っている。
いましがた、自分の下腹部を走った感覚に血の気が引いた。
………まさか………これ…………。
それが何か確かめられない。
随分と経ってからおそるおそる下着に手を差し入れてみる。
ぬるりと指に絡み付いてきたそれは、赤かった。
くらりと視界が揺れて、吐き気が込み上げて来る。
でもそれ以上に俺の胸を貫いたのは、えもいわれぬ悲しみだった。
「あぁ…………」絶望的な声が漏れた。
「俺は女になってしまった」
End