眠り姫は襲っていいんだ
ワグナリア休憩室にきたら、姫がお昼ね中だった。
「・・・佐藤君?」
俺が声をかけても、全然反応しない。
髪を触ってみても、頭を撫でても、起きる気配がない。
「・・疲れてるんだね・・。」
佐藤君は働き者だ。見た目にはんして真面目だから、しっかり仕事をする。・・俺とは正反対。
あ・・俺だって仕事してるけどね?
そんな佐藤君だから、皆頼りにしてる。
口には出さないけど。
でも、すぐに無理をするから、俺は心配なんだよ?
「お疲れ様佐藤君。」
寝ている佐藤君を見ていると、寝顔が可愛くて・・、なんか変な気分になってきちゃった。
「うん、これは佐藤君が可愛いのがいけないんだ。俺のせいじゃない。」
そんな事を言い聞かせ、寝ている佐藤君にキスをした。
最初は軽く啄ばむように・・。
その後は、深く、口内を犯すように。
「っ・・・?!!」
あ・・さすがにこのキスは起きちゃったか。
「ふ・・ぁ・・な・・そ・・ま?」
寝起きの頭が覚醒したのか、俺の姿を捉えると離れようと俺を押す。
そんな手を逃がさないように、手首を掴み、反対の手は腰に回し抱き寄せた。
キスがもっと深くなるように。
「っ・・・ふ・・。」
キスの合間にもれる声。
エロいよ・・佐藤君。
そんな事を思いながら、佐藤君を解放してあげた。
「な・・おま・・・いき・・・っ・・。」
酸欠状態とキスの余韻で真っ赤になり涙目で俺を睨む。
「う~ん、、おまえ、いきなり何するんだ!!って言いたいのかな?」
そう言うと黙り込む。
「だってさ・・、休憩しに来たら俺の姫が眠ってるんだよ?可愛い顔で!そんなの、襲いたくなるでしょ!!」
「な!!ひ・・姫?!!!」
俺の台詞にあたふたしだす佐藤君。
「うん、それに眠り姫起こすのはキスってきまってるじゃない?だから・・・したんだよ、大切な俺のお姫様。」
もう一度抱きよせ、囁くように言うと、赤くなり俯く佐藤君。
そして、俺に腕を回して小さく呟いた。
「・・・・ばか相馬。」
(眠り姫は襲っていいんだ)
作品名:眠り姫は襲っていいんだ 作家名:十六夜 葉月