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きらきらきんいろと煌めく蒼

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きらきらひかるおひさまのようなひとと、透き通った蒼が美しい綺麗な存在が出会った。











新羅が知り合いから預かったという子供は、どこか頼りなく、小さな顔に大きな蒼い眸を携えて、やっぱり小さな唇をきゅっと噛み締めていた。
「良い子なんだけど、ちょっと人見知りするんだ。やっと僕らにも慣れてきたところかな」
そう言って、新羅は小さな身体を抱き上げる。
小さな手がふらりと彷徨って逡巡した後、ためらいがちに新羅の服をきゅっと握った。
それを見れば、子供が抱き上げられることに慣れていないことが静雄でもわかった。
そのまま新羅に視線を移せば、彼はその通りだと言うように首を縦に振る。
「事情有りの子でね。まあとにかく、これからは僕らのところにこの子も居るってことを頭に入れて来ておくれよ」
「・・・・わかった」
己の異常な力を嫌というほど自覚している静雄は神妙に頷いた。
丸い大きな眸が静雄を見た。綺麗だなと思った瞬間、逸らされてしまったことに少しだけちくりと胸が痛んだことに静雄は首を傾げた。
「ああ、怒らないでよ。さっきも言ったけど人慣れしてないんだ。それに、どちらかというと今のは照れてるんだよ」
「照れ・・・?」
「そう。だよねえ、帝人」
最初の言葉は静雄に、後の言葉は子供――帝人と言うらしい――に掛け、新羅は小さな頭を柔らかく撫ぜる。
すると子供はふわりと顔を上げ、新羅を見、そして静雄を見た。今度はしっかりと。
(でけぇ目ん玉)
静雄は今度は逸らされなかったことと、その透き通った蒼に感動していると、子供はまた新羅を見て握った服をくいくいとひっぱってみせた。
それだけで新羅には子供の意図が理解できたらしく、抱き上げた身体を優しく降ろしてやった。
一連の動作をじっと静雄が見つめていると、ててて、と音を立てて小さな身体が静雄の元へと近づいてくるではないか。
どきり、なのか、ぎくり、なのかわからなかったが、思わず身体が硬直してしまった。
ソファに腰掛けていた静雄の膝にそっと柔い手が置かれると、静雄はますます身体を固くする。新羅が笑みを必死に殺していたのすら静雄は気付かない。
火を点けていない――新羅に止められたのだ――煙草を千切らんばかりに噛んで、それでも子供から視線を外せなかった。
「じはんき、」
「・・・・は?」
煙草がぽとりと床に落ちた。
「じはんき、とんでた」
「あー、成程。そういえば、セルティと散歩に行った時に見たって言ってたね」
こくりと子供が頷いた。その柔い手はまだ静雄の膝に置かれたままだ。
「だから静雄は怖がらないのかぁ。帝人君、人見知りだけど好奇心は旺盛な子だからねぇ」
「・・・何の話だよ」
「言った通りだよ。帝人君はセルティと散歩中に喧嘩真っ最中の君を見かけた。それだけ」
「とばしてたの」
「お、おう・・・・」
セルティが近くに居たからとはいえ、自販機を飛ばすという異常事態に怯えるどころかその元凶に近づく子供。
普通の大人でも、そんな人間が身内以外はほとんど居なかった静雄は、小さな小さな子供にどう言ったらいいか、どう応えたらいいかわからなかった。
しかし、それはけして不快なことではなく、どちらかというと、応えてやりたいという欲求さえ生まれてくる自分に静雄は戸惑いを隠せない。
そのまま数十秒子供と見つめ合う。
するとぱちりと大きな眸が瞬き、小さな唇がそうっと動き囁いた。
「きらきら、」
子供の両の手が伸ばされる。
その時、何故だかわからないが静雄の中でその手を取らなければいけないという使命感が生まれ、気が付いたら破壊しか生まない手で柔らかな小さな手を受け止めていた。
「きらきら、にいちゃ」
子供が笑った。
その笑みと柔らかな温もりに、心震える。
小さな唇が象る軌跡。



「きれいね」



お前の方がよっぽど綺麗だと、静雄は煌めく蒼に見惚れた。
















かちゃりとドアが開き、セルティが顔を出せば真っ先に新羅がセルティの元へと近寄った。
【ただいま・・・っと静雄来てたのか】
「ああ、セルティおかえり。あの通りだよ」
【帝人懐いてるじゃないか。やっぱりあの時の自販機気に入ったんだな】
「だよねぇ。あそこまで懐かれると僕らとしてはちょっと複雑だよね」
【そう、だな。でも帝人が楽しそうで良いかもしれない】
セルティの言葉に頷きながらも複雑な顔を解かない新羅に、セルティはフルフェイスのヘルメットを横に傾けた。
【どうかしたのか?】
新羅は苦笑して、微笑ましい交流をする義息子と友人を指差し言った。
「他人が恋に落ちる瞬間を見てしまったよ」
友人の恋を応援しようにも親心としては絶妙に複雑なんだよね、と愛しい妖精に養父を自負する男はそう零した。