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忍文 次富

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「なぁ、噛み跡つけていい?」
「はぁ?ちゃんと噛んで飲み込めよ」

せっせとおかずに箸を動かしていた富松は怪訝そうに眉を顰めてそう言うと、ずずっと一口味噌汁を啜る。
次屋はそんな富松を見て思い出したように箸でつまんだままの煮物を口に運ぶ。
もぐもぐ。言われなくても次屋はよく噛んで飲み込むほうだ。ごくん。

「そうじゃなくて作に」
「んあ?」
「作につけたいんだけど」
「・・・お前ってほんと脈絡ねぇな・・・。っつかもの食ってる時に話す話かよ?」
「別に作をとって食いたいわけじゃないよ。まぁ別の意味じゃいつでも食いたいけど」
「ハイハイ」

受け流しながら芋を口に放り込む富松。
頬を赤らめるでもない様子に慣れてしまったもんだなぁなんて次屋は思う。
こちらも一口味噌汁を啜れば、鮭の切り身を解体しながら富松が口を開いた。

「・・・で?」
「ん?」
「なんでいきなりそんな話になったんだ?それも七松先輩の教えか?」
「確かにあの人ならマジでとって食っちゃいそうだけど」
「は、非常食にされなくて良かったな」
「本当だよ。・・・で、なんだっけ、えーと」
「なんで噛みてーのお前、っつー話」
「そうそう、マーキングなんだって」
「マーキングだぁ?」
「作が俺のって証、みたいな?」
「噛み跡ひとつでか」
「うーん、そう言われると不安だけど」
「そんなもん怪我だろ怪我!吸い跡よりは長持ちすんだろうけどじき消えるもんだぞ?」
「まぁ、そだな」

ぼんやりと相槌を打つ次屋を見て、話は終わったとばかりに富松はご飯をかきこむ。
次屋はじぃ、と租借する度に上下する喉を見つめる。それから首から肩までの線を。
噛むならやはりあそこだ。
マーキングだか所有印だかと考えなくてもそこは大層魅力的で次屋を誘う。
行為の意味など少なくとも次屋にとっては後付けだった。

「なぁ」
「あんだよ」
「やっぱり噛みたいんだけど」

がりり。しかめっ面の富松は漬物を音を立てて齧り、ため息ひとつ。
半ば予想していた次屋の言葉に用意していた一言を。

「好きにしろよ。その代わり、お前も噛ませろ」


ニヤリ不敵に笑う富松のその顔にしばし呆けた次屋はまた彼に惚れたのを自覚する。
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100124
作品名:忍文 次富 作家名:sera