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甘い病の処方箋

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なんだって男の俺が男と付き合ってんだか、首をかしげながら隣にいる男に視線を寄越す。
その視線に気づき、目と目があったのにニコリとも表情をつくろうとしないヤツが俺の恋人なんてこの先不安だらけだ。代わりに俺が表情をつくってんだからおかしいこと此の上無いだろ。

「なぁ。もう少しかかりそうだから先に帰ってていいんだぞ」
「先輩を待ってるなんて僕一言も言ってませんけど」
「・・・・あっそう」
図書室でヤマトが、さっきから熱心に読んでるのは建築の本で中身を覗いても何が面白いのかさっぱりわからない。あまりにも真面目な顔して読んでるもんだから茶々をいれたくなり、愛読書であるイチャパラのきわどい部分を指差しながら耳元で質問してみる。
「ここの所の漢字なんて読むか知ってる?」
「その箇所以前、先輩がナルト達の前で辱め受けたとこですよね」
「・・・なんで知ってるんだよ」
「さぁ。それより終わらせる気ないんですか、それ?」
目の前にある書類の束を指しながら焦れたようにコツコツと爪先で机を叩く。
「もう少しかかるかな」
「そうですか・・・でわ、もう帰ります」
「えっ、ホントに帰っちゃうの?」
「はい。本も読み終わったんで」
椅子から立ち上がると建築の本を抱えスタスタと行ってしまった。

少しは振り返るとか、外で待ってますとかないんだろうか・・・。
後ろ姿をぼんやりと見送りながら、昔読んだ事のある恋愛本の中身がうっすらと頭をよぎった。
アイツ、釣った魚には餌を与えないタイプだな。
頬杖をつき溜め息をつくと残りの書類に筆を走らせる。するとすぐ後ろで名前を呼ばれた。

「カカシ先生じゃないすか」
振り返ると声の主は数冊の本を肩に担ぎ背後から俺を覗き込んできた。
「シカマルじゃない。本なんか持ってめずらしい」
「本ぐらい俺だって読みますよ」
失敬なとでもいうように口を尖らせると俺の横に腰掛けた。

「ねえ、シカマルは釣った魚には餌あげる方?」
「は?さかな?」
「恋愛の話しだよ」
「なんすか。いきなり」
バツの悪そうな顔で返答に困っている。頭脳明晰なシカマルでも恋愛ごとは難解なのか。
「めんどくさいっすよ、そうゆうの」
「めんどくさい、よねぇ・・・」
うーんと唸ると、書類の上の筆がピタリと止まった。
そうゆうことが億劫で本の中で満足してたはずなんだけど。
変だな、と首を捻り頬杖をついたまま考えているとシカマルが横目で尋ねてきた。
「もしかして、恋の病ってやつですか」
「そう、タチの悪いやつでね。参ってんの」
ははっと困ったように笑い顔をつくるとシカマルが「マジっすか」と驚いたように呟く。
「カカシ先生の相手ってなんか想像つかないですね」
「・・・想像はしないほうがいいぞ」
色々と問題ありだからな。

その時だった、人影が近づいてきたのは。
「あれっヤマト。帰ったんじゃないの」
「忘れ物したんで取りにきたんです」
そう言いながらチラリと見下ろすと、隣に座っているシカマルに挨拶した。
俺には不機嫌そうな顔をしておきながら、シカマルにはニコリと友好的な表情を見せる。
その顔を真っ先に見せるのは、付き合ってる俺でしょーが。
ヤマトとシカマルが親しげに雑談を始め、どーにも釈然としないまま再び書類に筆を走らせた。

暫くすると横で話していたシカマルが立ち上がり、
「じゃあ、俺はこの辺で失礼します」と本を片手にまとめて椅子を戻した。
2、3歩進んだところで「あ」と何か思い出したように俺を振り返り、
「カカシ先生、お大事に」
ニヤリと意味深な笑みを浮かべ、シカマルは図書室を出ていった。

作品名:甘い病の処方箋 作家名:ユラン