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里海いなみ
里海いなみ
novelistID. 18142
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すがるようにキスして

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「いざやくん、サイケねむい」
「先に寝てていいよ」
「やだ、これみるの」

ソファではなく床の上に直接座り込んだサイケと俺が見ているのは、二次元と三次元を上手く組み合わせていると評判のミュージカル映画だ。買い換えたばかりの大きな画面で見る魔法にすっかり魅了されてしまったサイケは、うつらうつらと船を漕ぎながらもしっかりとクッションを抱き締め意識を保とうと俺の服を片手で握り締めていた。
俺はというとサイケに付き合って見始めたため中途半端に終わってしまうのが嫌で最後まで見ようとコーヒーを啜っているところだったりする。俺と色違いのパーカーと半ズボンに身を包んだサイケはさっきから眠気を覚ましたいのか繰り返し目を擦っている。
小さな子供のようなその仕草をどこか微笑ましく思いながら俺と同じ手触りの髪の毛を撫でていると、不意に後ろから小さく不満げな鳴き声が聞こえてきた。ちらり、と視線を送る。数週間前に引き取った白い猫の青い瞳がまっすぐ俺達を見つめていた。先程までソファの上で眠っていたと思ったのだがいつのまにか降りてきていたようだ。自分も撫でろと言うようにしてサイケを撫でていた腕に頭を押し付けてくる。

「ソラもなでてっていってるよー」
「うん、そうだね」
「なでてあげてよー」
「うん、そうだね」

ぐいぐいと押し付けられる頭がだんだん鬱陶しく思えてきて仕方なく何度か撫でてやった。映画は佳境に入り王子様がお姫様の元へと現れた、馬鹿みたいな王子様はこんな大事なシーンでもやっぱり馬鹿みたいに見える。サイケのように真っ直ぐな見方が出来ない俺には面白かったのは最初だけなのとその撮影技術、編集技術くらいだ。なんとなく爪をたてるようにして耳の間を掻いてやると嬉しそうにソラが一声鳴いた。
やけに静かだ。さっきまでいざやくんいざやくんとうるさかったサイケに目をやると、クッションを抱き締めたまま顔を埋めるようにして寝息をたてていた。やっぱり無理だったか、時計は23時を指し示している。普段こんな遅くまで起きていられないサイケにしてはよくもったほうだ。
丁度お姫様が主人公と熱烈なキスを交わし始めたので飽きてしまった俺は映画を見る事をやめた。頭を撫でていたソラは満足げな様子を浮かべてサイケと同じく規則正しい動きで体を上下させて眠っている。ソラを持ち上げる事は簡単だけれど俺と同じ身長、体重のサイケを持ち上げるのは正直辛い。前に倒れてしまいそうなくらい体を傾けてしまったサイケの肩を引っ張り膝の上へと頭を乗せ、反対側の膝へソラを移動させた。健やかな寝息をたてる一人と一匹を見下ろして天井を見上げる。室温は一定に保たれているしプログラム(注:サイケ=サイケデリックドリームス01、サイケデリック臨也=実体化可能なボーカロイドの親戚のようなもの)と猫だし風邪を引くことはないか。膝は暖かいしまぁ俺も大丈夫だろう、胡座をかくようにしていた足を伸ばしてそれぞれを膝に乗せ直し体を後ろへと倒
す。照明の電源を全てリモコン式にしておいてよかった、じわじわと明度を下げて部屋を暗くした。

「……ねむ」

思わず小さく呟いてしまった。普段ならまだ仕事をしている時間だし、寝る時は市販の睡眠導入剤を使わないと眠れなかったのに。少しばかり複雑な気持ちになりながらも襲ってくる睡魔に逆らう理由は何処にもないわけで、サイケとソラそれぞれに手を乗せて目を閉じた。










(ソラ、しーっね)
(なぁう)
(ちゅーしたの、サイケとソラのひみつだよ?)
(にゃあ?)
(いざやくんおつかれさまぁ)
(にゃーぅ)