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体温と居場所と心が欲しい

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俺はボディタッチが好きだ。親しい奴と会ったらとりあえず抱きつく。顔だけ知ってる奴でも肩を叩いたりする。初対面の奴にはとりあえず握手する。こういった具合に、とにかく俺は他人と触れ合うのが好きだ。
 お前の部屋にはぬいぐるみでもあるのか、と何度もギルダスにからかわれた。そりゃあ毎度毎度誰かに抱きついてる奴が一人寝なんてできるはずも無い。正直な話、寂しすぎて死にそうになる。
 だからと言っては何だが、俺はほとんど自室に帰らない。番がいない俺は仲のいい仲間のとこに色々理由をつけて泊めてもらう事が多かった。
 傍から見るとしっかりしてるとか思われているようだが、俺だって弱点はある。有翼人は寂しがり屋なのだ。末裔の俺も先祖返りしたのではないかと思うくらいの寂しがりだった。
 それでも外面を取り繕っているので、他人からは「スキンシップの激しい奴」としか思われていない。人懐こい性質はこういうときに役に立つ。
 近くに体温があればいい。生きている人間の鼓動、血の巡り、呼吸に身じろぎ。そんな当たり前のものがなければ俺は生きていけない。孤独になったらそれこそからっぽになって死んでしまう。 とはいえ、そう毎回毎回相手が捕まるはずもない。何度も女を買う訳にもいかなくて、俺は数え切れないほどの寂しさに溢れている。次の相手にはべったべたに接してしまいそうだった。
「……どうした、カノープス。悩み事か」
「え、ああ、別にそうじゃない」
 今回夜を共にしてくれるのは、かの聖騎士だった。友人であり上司であり、それでも仲良くしてくれているので細かいところはどうでもいい。これで今日も寂しくない。 聖騎士ランスロットは察しがいい癖に鈍感という矛盾に満ちた性質を持ち合わせている。他人の体調には敏感なのに自分の健康には無関心みたいな、とにかくずれていた。
 そんな奴だから俺の本音を引き出されるのも時間の問題だと思うのだが、今のところ何のリアクションもないので俺は現状に甘えていた。信頼している奴と触れ合うのは何より気分がいい。
 就寝までの準備を終え、俺たちは寝床についた。ランスロットのベッドは身分にふさわしく大きく寝心地がいい。おかげで男二人が寝ても支障がなかった。 ベッドサイドに剣を置いてランスロットは眠る姿勢を整えた。俺は横を向いたランスロットを背中から抱きしめる。寝間着しか着ていない身体は体温がよく伝わってきて、今までの餓えが溶解していくようだった。ああ、俺は寂しさを埋める為なら誰が相手でも良かったが、本当の意味で満たされるには番の存在が不可欠なのか。
 俺が隙間無く密着してもランスロットは文句を言わなかった。それを同情とみるのか期待していい代物なのか、俺には分からない。

 ランスロット、お前は俺を――いや、いい。
 今はこの温かい体と許された空間があれば十全だ。