箱庭の向こうに夢がある
「ごめーん! 迷子になってる女の子見つけちゃってね、気を取られてたら私まではぐれちゃってた」
「え、その子は? 大丈夫ですか?」
「社務所に預けてきたから大丈夫……って、あー! ずるいずるい、ずるい! 私も!」
「え?」
「手! 私も健二くんと手、繋ぐ!」
「ええっ!?」
「…………」
結局。
そのまま、ずっと。
佳主馬は、健二の手を離すことができなかった。
──そんな、真夏の昼下がり。
理由もわからないまま、深く魂に刻まれた。
思い出。
作品名:箱庭の向こうに夢がある 作家名:Kai