Happy Family Plan
「きっと俺、鈴木となら良い家庭が作れると思うんだよね」
家を出て鈴木とルームシェアすることになったときに、そんなことを言った。馬鹿だの阿呆だのは言われなかったけれど、家族全員からは「鈴木君にご迷惑をかけるんじゃない」という旨をきつく仰せつかった。いったい俺のことなんだと思ってるんだろ、うちの家族。
「ね、失礼しちゃわない?」
「失礼しちゃうのはこっちだな、お前、馬鹿だろ」
「だってそう思ったんだもん」
「良い家庭ってどうやって作るんだよ。お前の思い描く良い家庭って何」
「俺がいて鈴木がいて子どもは二人で、あ、一姫二太郎ね。で、犬飼うの。セントバーナードでヨーゼフって名前か、ゴールデンレトリーバーで……」
「……お前ってほんっきで馬鹿だよな」
「え、今、ものすごく本気だったね?」
「子ども二人って何ソレ」
「愛の結晶」
「そこが馬鹿なんだっつーの。俺、男。お前、男。どうやって作るんだよ」
「え……」
「は?」
「だって鈴木なら産めそうじゃない」
「死ねばいいのに」
「はは、まだ死なないよ」
俺の家族だけじゃなくて、鈴木も俺のことなんだと思ってるんだろ。鈴木なら絶対に子どもの一人や二人や三人産めると思うんだけどなぁ。
作品名:Happy Family Plan 作家名:ながさせつや