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ふうりっち
ふうりっち
novelistID. 16162
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【C79新刊】学園天国(普×独) ※本文サンプル

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【本文/悪友より 一部抜粋】

「犬が西向きゃって、なんなん?」

 犬がどないしてん?
 日本の諺を知らないアントーニョとギルベルトに、これは解けるはずがない。

「犬は犬でもよ、銅像の事かもしれないぜ」
「犬の銅像なんて学園内にあったか?」
「分かった、きっと上野の西郷さんだ! 確か、犬連れてるぜ!」
「上野? けど、あそこも学園内に入るん?」

 こっから、かなり遠いで。
 ギルベルトが自信満々に答えれば、それを聴いたアントーニョが間違った方向に話を持っていく。

「……全く」

 二人の不毛なる会話に、フランシスは思わずガックリと肩を落とした。その姿にようやく二人は彼の存在に気付く。

「とりあえずさ何で上野の西郷さんなわけ? それはないから」
「なんで? だって犬連れてるじゃんか!」
「宝探しにわざわざ上野まで行くの? それに同じ犬なら、渋谷のハチ公の方がリアリティーあるでしょ!」
「なら、渋谷に宝物があるんじゃねぇか?」
「それも無いから!」

 即効で答えを却下されたギルベルトは低くうなっているが、それに構わず地べたに座り込む二人の間に混じるフランシス。だが足許に広げられた学園マップを見た瞬間、表情が変わった。





****************************
【本文/普×独 一部抜粋】

「兄さん、……この後は、どうすればいいだろうか?」

 まだシャツは羽織ったままだが、ボタンはすべて外していた。中枢を隠すように膝をすり合わせ、内股気味に座った姿は、あまりにも無防備であられもない。
 そんな容姿を目の当たりにすれば、すぐに心を煽られ、ギルベルトは無意識に喉を鳴らしていた。

「どうって……、ヴェストはどうされたいよ?」
「いや、どうと聞かれても…俺には……」

 多少の知識はあったが、気恥ずかしさもあって、自然と視線が下がり、しどろもどろながらも答える弟にギルベルトは抑制など利かなくなる。
 これまで散々悩んでいたことが呆気ないほど簡単に解決したことで、次にギルベルトが求めたのは繋がり。獣並みの思考であることは分かっていても、こればかりは仕方無い。
 ルートヴィッヒの手首を取るなり、そのまま勢いよくベッドへ押し倒した。

「多分、大丈夫だ……けど、痛かったら悪い」
「……あぁ、それは覚悟している」

 覚悟、と口にした。それはどこをどう使うのか、彼なりに熟知しているということなのだろう。
 ギルベルトはふわりと笑い優しい口吻けをルートヴィッヒの額へと落とす。

「王に恥をかかせないために、俺も精進するか」
「……そうしてくれ」

 ギルベルトからの真摯な眼差しを受け、ルートヴィッヒは照れくさそうに視線を反らしてしまう。そんな仕草すら可愛くて仕方がない。

「ちゃんと啼けよ」
「兄さんこそ、行為には自信があるんだろうな?」

 売り言葉に買い言葉。どちらも一歩も引かない構えをみせた。

「ケセセ、泣きを見るのはお前だぜ、ヴェスト」
「……そうなることを祈りたいな」

 二人の会話は、愛を深め合う行為前とは到底思えない。しかし、行為自体が初めてなのだから、緊張するのも仕方が無い。

「絶対、泣かすから覚悟しろよ!」

 ベッドに押し倒されても、中々、しおらしくならない弟を見下すと、ギルベルトは唇の端だけでにやりと笑みを浮かべた。