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不動と鬼道 2

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「ふぃーー」

 キュッと水道の蛇口を閉める。練習は殆どなに事も無く終了した。
 鬼道がいなくて、他のメンバーはあまり集中できていなかったけど。
 顔を拭こうとして、タオルを手探りで探した。

「不動」

 聞きなれた声と共に、探していた物を手渡された。
 無言で受け取り、顔を上げると鬼道が立っていた。

「なんだよ、まだ何か言いたいことあんの?」

 別に挑発している訳ではないが、そういう聞き方しか知らなかった。

「喧嘩しに来たんじゃない。・・・さっきは、すまなかった」

 鬼道は気まずそうに言った。これじゃ、俺が悪いみたいじゃねえか。

「気にしてねえよ。慣れてるしな。・・・本当に悪いと思ってんなら
 俺にキスしてみろよ」

 チームの司令塔の戸惑う顔が見たくて、冗談で言った。
 でも、少しは本気だったのかもしれない。自分は今、どんな表情で
 鬼道のことを見ているのか分からなくなった。

「構わない」

 しかし鬼道は予想に反してあっさりと返事をした。
 そして俺の顎を丁寧に持ち上げ、腰に手を回す。

「ま、待てよ!マジでするのか!?」

 躊躇いも無い動作に、気が動転した。

「?お前がしろといったんだろう」

 何を言っているんだ、と付け加えられる。

「確かに言ったけど・・・・・・いいのかよ・・・・俺で」

 恥ずかしくて顔も合わせられなくなり、そっぽを向く。
 自分が言い始めたことなのに、緊張して棒立ち状態がやっとだった。

「好きだからいい」


「え?」

 驚いて、思わず鬼道の方を見る。さっきまで平然としていたのに、
 今は耳まで真っ赤だ。

「そうじゃないと、キスなんてする訳ないだろう・・・それと、
 そういう質問は済んでからにしてくれないか」

「わ、悪かったな」

 鬼道の台詞に顔から火が出そうになる。
 好き・・・なんて、初めて言われた。

「・・・・・・・目、早く閉じろ」

 急かす様に鬼道は言った。

「~~~~っ」

 逃げ出したい衝動に駆られながらも、覚悟を決めて視界を閉ざす。
 ゆっくりと、顔が近づいている気配がする。そして、そっと
 唇に、柔らかい感触が伝わった。ヤバイヤバイヤバイ、
 今、鬼道と・・・キス、してる。そして、鬼道は何故か
 素早く顔を離した。終わったのか?と思って目を開ける。
 すると鬼道は片手で目を覆っていた。

「・・・・・・どうしたんだよ」

 激しく動く心臓の音を聞きながら、平然を装った。

「あんな顔して、キスするんじゃない!」

 鬼道は限界だと言う様に言った。あんな顔って・・・まさか?!

「ぉまっ!!!・・・目、開けてたのかよ?!」

 装ってた平然さはものの30秒も、もたず叫んでしまった。

「仕方ないだろう。ぁ、あまりにも、か、可愛かったというか・・・」

「だからって不公平じゃねぇか!!ってか、可愛いとかいうなよ!!!!!」

 鬼道が言う事に全て大声で反論してしまい、練習の後なのも手助けして
 体が耐えられず肩で息をしてしまった。

「不動が、悪いんだ。罰として、俺の事どう思ってるか言ってみろ」

 もはや鬼道は悪乗りしていた。っていうか、吹っ切れていた。
 しかし、どこか、返事を聞くのを不安そうにしている。
 俺が「キスしてみろよ」と言った時もこんな表情をしていたのかもしれない。

「・・・好きだぜ」  

 一回ため息を付いた後に言った。
 鬼道はニコリと微笑んで、

「そうか」

 と一言呟いただけだった。


「鬼道ーーーっ!どこだぁーーー?!」

 グラウンドのほうから甲高い叫び声が聞こえる。
 きっと、鬼道の事が気になって部屋に入ったところ、
 誰もいなかったので、探しに来たんだろう。

「佐久間がお前のこと探してんじゃねぇの?
 なんか、あいつが1番心配してたぜ」

 早く言ってやれ、という風に俺は手を振る。

「あぁ・・・ありがとう。・・・それと、本当はお前が
 1番なんだろう?」

 鬼道は自信ありげに話す。

「はぁ?何が1番なんだよ」

 意図がいまいちよく分からなかったので聞き返した。

「俺の事を心配してくれたのが、だよ」

「うっせーよ!!さ、さっさと行きやがれ馬鹿!!!!」

 墓穴を掘ってしまった・・・と強く後悔した。
 鬼道は楽しそうに佐久間の元へ走って行く。
 ・・・なかなかアイツはムカつく奴だな、と今更気が付いた。
 そして俺は一人で合宿所の中に向かった。
 唇には、まだ感触が生々しく残っている。

「不動、ちょっといいか?」

 今日は良く声をかけられるな、と振り返った。

「あれ、珍しいじゃん。キャプテンさんが俺になんか用?」

 ただ純粋に驚いた。しかも、こいつの周りにはいつも人だかり
 が出来る筈なのに、今日は見渡す限り誰もいない。

「ふどぉお!!!」

 ガシッと両腕を捕まえられる。

「え・・・なに?」

 この熱血ぶりには、ついていけねーわ、と半ば
 呆れながら返事をした。

「お、俺俺、俺と・・・っ!!!」

「落ち着けって、ちゃんと聞いてるから」

 まどろっこしくなり、ついつい口を挟む。
 円堂は決心したかのように大きく息を吸い込んだ。

「俺と真剣に付き合って下さい!!!!!!」

 キーンと耳が鳴る。何・・・俺、死ぬの?
 急に恐くなって涙が出そうになった。