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新宿のオリハラさん 2

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 静雄は相変わらず馬鹿みたいな顔をして寿司を頬張っていた。
 臨也は食欲がないのか、大好物の大トロでさえ3貫しか食べていない。

「イザヤ~、もっと食べたほうがいいね。大きくなれないよぉ」

 その様子を見初めたサイモンが、額に手を当てながら言い、
 更に寿司を持って来ようとした。

「もう大きくなんないって・・・ご馳走様」

 終了の合図として箸を手元に置く。
 本当はもっと食べれるんだけど、シズちゃんが隣にいるから
 なんか調子狂うなぁ・・・・・・、とため息をつきながら
 臨也は後ろ髪を引かれる思いで席を立った。

「もう帰るのか」

 静雄は茶を啜りながら問いかける。

「うん。ちょっと用事もあるしね」

 それに、はっきり言って何時キレられるか分かったもんじゃないので
 こうするほうが賢明な判断だと自負した。

「イザヤ、お会計こちらよぉ!」

 サイモンが臨也に向かって手招きする。
 
「あ・・・えっと、じゃあね」

 段々高鳴る心拍数に戸惑い、臨也の声は少し震えていた。
 そして、サイモンの所へ走って行く。
 静雄はその様子を見送り、なぜか箸を真っ二つに折ったかと思うと、
 両手で頭を掻き始めた。




「大サービスで5000円ポッキリね!!」

 サイモンは素晴らしい笑顔で決して大サービスではない金額を請求した。
 しかしお金は十分にあるので、躊躇いも無くポケットから
 財布を取り出す・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
        ・・・・・・・・・・・・・・・ない。
 コートの中にもそれらしい物は見当たらない。
 急いで出てきたから忘れたのか?と必死で自己分析をする。
 
「どしたの?」

 サイモンは営業スマイルで疑問符を投げかける。
 臨也はかろうじて所持していた携帯を慌てて差し出した。

「おサイフケータイ使えるかな?」

「うちは現金のみよぉ」

 バッサリと頼みの綱が断ち切られる。
 くそ・・・もう終わりだ・・・・・・波江さんに財布持って来てもらって・・・
 いや、それは貸しをつくるみたいで厄介だな、と
 臨也は、あれこれ長考し始める。

「イザヤ~、早く払うよぉ」

 痺れを切らしたサイモンが表情を曇らせながら再び
 催促をしだした。

「えっと・・・サイモン?俺、今日財布忘れちゃったみたいでさぁ
  ・・・・・・今度でいいかな」

 臨也はこの最悪な状況を打破しようと試みる

「お金ない、はお客様違う!食い逃げ許さないよ!!」

 虚しく失敗に終わったようだ。
 サイモンは怒りを露にして殴りかかってきた。

 -----避けきれない!

 臨也は反射的に目を閉じる。

 

 しかし、いつまでたっても痛みはない。
 不思議に思って恐る恐る両目を開ける。

 目の前には、サイモンの本気の鉄拳を
 片手で受け止めている男がいた。

「・・・・・・シズちゃん?」

 自分を助けてくれたという驚きに、
 臨也はポカンと口を開いた。

「臨也の顔に傷つけんじゃねーよ」

 そういって静雄は今まで見たことの無いくらい
 顔に血管を浮かばせていた。

「シズオ!邪魔するよくないよ!!」

 サイモンは、もう片方の手を振り上げる。

「おい!」

 まさに鶴の一声。サイモンの動きがピタリと止まった。

「10万で足りるか?」

 怒りに震えた声で静雄は乱暴に紙幣を投げつける。

「おぉ、バッチリよぉ」

 サイモンは二重人格かと疑うくらい、優しい声音で言った。

「釣りはいらねえぜ・・・って1回言ってみたかったんだよな」

 どこかで聞いたことのあるような台詞を口にして、
 静雄はサイモンに背を向け臨也と向き合う。

「帰んぞ」

「は?」

 全く会話が通じていない。しかし、静雄は説明もせずに
 臨也の腕を掴む。

「え?何?!」

 臨也は警戒して体を強張らせる。

「ッチ・・・・・・骨なんか折らねぇよ。ほら、早く」

 信用されていなくて不愉快な気持ちを顔に表した。
 そして、静雄は臨也を引きずるようにして
 露西亜寿司を後にした。









「シズちゃん!どこ行くの?!」

 池袋を見境もなく連れ回され、臨也は静雄に呼びかける。

「お、ここでいいか」

 それを無視して静雄は街頭1つで照らされている
 公園に入って行った。

「だ、誰もいないけど」

 臨也はキョロキョロと辺りを見回し、自分の体を守るような
 体制をとる。静雄はそれを見て顔を紅に染める。

「な?!・・・誰も手前なんか襲わねぇよ!!」

「襲うってなに?シズちゃん、やらしー」

 臨也は、からかうように笑いだす。静雄は咳払いをしてベンチに座る。

「おい、逃げずに座れよ」

 忠告してから臨也を掴んでいた手を離した。

「分かったよ。・・・で、こんな所に俺を連れてきたってことは
 なんかあるんだよね」

 腕組をして臨也は遠くの方を見ながら話す。

「今日の事、キッチリお礼してもらおうと思ってな」

 静雄は不敵な笑みを浮かべた。

「・・・いいけど。何?」

 まるで、こう言われることが想定済みだったような口ぶりで
 臨也が言った。

「寿司屋で払った金、今月の家賃だったんだ。明日から1ヵ月
 手前の家に住ませろ」

「住むの?!」

 静雄の提案に臨也は目を見開く。

「仕様が無いだろ。文句は言わせねえぞ」

 ゴキリと腕をならし、有無を言わせなくされる。




「分かったよ・・・・・・・」

 そう言うしか、臨也は出来なかった。