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偽りの聖母の微笑み

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ボロボロと崩れていく僕等を見て愉快だ愉快だと笑ったのは彼で、

(それを受け入れる事も無く、怒り狂う事もしなかったのは僕で、)



ここから離れていく親友の背中さえ、見送る事が出来なかった。
(嗚呼、誰か僕を、弱虫と卑怯者と罵ってくれ!!)






「ねえ、帝人君。あいしてるよ、あいしてる」





(どろりと歪んで、そうして甘い、)
(囁きは耳から脳髄まで汚染していく)
(そして意識がだんだん遠のいてゆく様な錯覚さえ覚えた、)





(彼から与えられる言葉の呪縛に流されて、濁りきった意識の中で、)
(どうしようも無く、愚かな自分自身を嘲笑った。)




酷く端正な顔をした道化師は僕を罵る事も叱る事も無く、
ただ、愛する事しかしてくれなかった。




(嗚呼、そうでしたね。貴方と言う人はそんな非情な男だった!)
(そうして、そんな貴方を愛そうとしたのは僕で、)




それを、これほどまでに歪ませて受け取ったのが彼だった。



(僕の恋の一番のライバルは、地位でも財産でも美女でもなく、)
(どこまでも純粋な人類愛だった)




「ねえ、帝人君。あいしてる」
(どこの誰よりも、君の事だけをね!)





そう言って首筋にキスを一つ落とした彼は、とても美しく僕に微笑んでみせたのでした。




(まるで、この世の終わりなぞ、知らないと言わんばかりのそれは、)





偽りの聖母の微笑み
(原型を留める事の無い歪んだ愛の行方を見る事は、果たして出来るのでしょうか?)








作品名:偽りの聖母の微笑み 作家名:白柳 庵