日輪があれば・・・
我には、日輪さえあれば、何もいらぬ・・・!
*
「元就様、毛利軍の兵が次々に倒されております」
「・・・愚かな・・・」
時は戦国時代。
場所は、日の本の西側。
中国地方を治める毛利元就は、今、四国の長曾我部元親と戦をしていた。
策士である元就は、ほとんど自分の身を戦に出さず、兵___捨て駒を使っていた。
今は、その兵が敵である長曾我部に倒されていったのである。
「我も・・・うごかなければなるまい。」
輪刀を持ち、彼は戦場へと足を踏み入れた。
*
「我の策も、ここまでか・・・」
戦場には、沢山の屍が転がっている。
そのほとんどが、毛利軍の兵だった。
「よぉ、毛利」
「長曾我部・・・」
大きな武器を持って、毛利に歩み寄ってくるのは、長曾我部。
勿論、彼とは敵同士。元就は少し距離を置く。
「アンタは・・・それでいいのかィ」
「何のことだ。」
何事もなかったかのように、毛利は眉ひとつ動かさず、聞いた。
「仲間が死んでいったのに・・・何でそんなふうにいられるか、って聞いてんだ」
「兵など所詮は駒に過ぎん。死しても光栄に思っておる」
兵はまだたくさんいる。その中の少しが消えようが、問題はない。
それが、毛利の考えだった。
「・・・あいつらの気持ちも考えたらどうなんだ」
「・・・あいつら、とは?」
長曾我部は、村を指差した。
村では、ほとんどが子供、女性しかいなかった。
男のほとんどが、兵になっているからだ。
「夫が死んじまって・・・子供と妻はどうなるんだ?その事も考えたらどうなんだ。もしアンタがそんな立場に置かれたら・・・どう思う?」
「これも、中国地方の平和の為よ。」
確かに、毛利の考えは間違ってはいない。
兵がいなければ、その国は守れない。
「しっかしょお・・・やりすぎじゃねえのか?」
「貴様のような海賊風情に言われる筋合いなどないわ」
少しおいて、毛利は続けた。
「中国地方は我の土地。貴様に言われようとも、我は我のやり方で国を動かす」