Decadence
厭世的でいてはいけないのかどうかという答えを知りたくて僕はその本を読んでいた。でも答えはわからなかった。保険の教科書には『麻薬でボロボロになっていく主人公の姿は悲惨』と書かれているけれど、ボロボロになっているそれこそが素敵に見えることを知らない人が書いているんだろうな。
ただ、一さいは過ぎて行きます。
引き籠っていても、隠れ住んでいても癈人としてここにいることは変わらないし、どこにいるからと言って時間をせき止めることなんかできないんだ。
あなたにはわからないんだろうな、こんな自分の心なんて。空虚になるとその瞬間流れ込んできます。
自分がいままで阿鼻叫喚で生きて来た所謂「人間」の世界に於いて、たった一つ、真理らしく思われたのは、それだけでした。
ただ、一さいは過ぎて行きます。
不思議な美しい微笑に自分は泣き、判断も抵抗も忘れて自動車に乗り、そうしてここに連れて来られて、狂人という事になりました。
狂人になってそのまま死に会う日を待つ。
いま、27さい。
私は80で死ぬとしたらあと53年は生きることになるのかな。