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Destiny

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――運命って信じる?

 雲雀の突拍子もない台詞に、綱吉は飲んでいた紅茶をアーチ状に噴き出した





【Destiny】










「う…運命、ですか?」
「そう、」
 運命
 繰り返し呟く目の前の彼、呆然となる綱吉
 脳内では誰だこの人頭打ったのか悪いもの食ったのか?、状態である(要するにパニック状態)
 しかし、それは無理もないこと
 なぜなら…
「ひ、雲雀さんは信じてるんですか」
「まあね」
 傍若無人で、最凶で、鬼の子で、恐いモノ知らずで、神なんかいなくても叶わない事なんてないあの雲雀恭弥が、
「信じてるよ」
 運命、という不確かな現象を信じているのだから
(い、意外だ…)
 口に出せば多分(というか100%)トンファーが振り下ろされるので、綱吉は心の中で呟く
 すると、雲雀は綱吉の顔を見て怪訝な顔をした
「?ひば」
「今、意外とか思ったでしょ」
 雲雀の口から放たれた言葉に綱吉は絶句
(なななんでっ!?オレ、口に出してた!?)
 冷や汗が背中を伝る
 落ちてくるだろうトンファーの痛みに、耐えるように綱吉は固く瞼を閉じる
 が、落ちてきたのは小さな…呆れに近い溜め息だった
「…顔に出やすいよね、綱吉って」
「…スミマセン」
 素直に謝罪すれば、雲雀は気にしてないと告げた
「まぁ、昔の僕だったら運命なんて信じてないだろうけど」
 最近はやたらと思うんだ
 雲雀の黒い、澄んだ双眸がじっと綱吉を見つめる
「何十億と人間がいる中で君に会えたのは、運命としか言いようがないってね」
 ふ、そう言って口元を緩めた雲雀
 綱吉はじわじわと頬に熱が集まるのを感じた
 雲雀がそんな風に自分との出会いを想っていてくれてたことが素直に嬉しい
(運命かぁ…ん?)
 と、ここで小さなくだらない疑問が沸いた
「奇跡とは…違うんですか?」
 奇跡…極めて低い確率でしか起こらないことが実現すること
 運命と何が違うのか
 綱吉が少し身を乗り出して尋ねてみると、雲雀は柔らかく微笑んで答えてくれた
「奇跡、はもしかしたら起こらないかもしれない。でも、運命は必然でしょ?」
 決められている事柄。奇跡とは違う、確実に起こる現象…
「だから、僕が君と出会うのは絶対だったんだよ」
 さらり、愛の言葉を口にした雲雀に、綱吉はぼぼぼ-と音が聞こえるくらい顔を真っ赤に染めた
(あぁぁ…どうしてこの人はもうっ…)
 ちらりと見やれば当の本人は涼しげな顔
 嬉しいやら恥ずかしいやらで、綱吉は今真っ赤であろう顔を雲雀から隠した


「君はどっち?」
 僕らの出逢いは奇跡?それとも運命?
 そんな綱吉の事情お構いなしで首を傾げながら聞いてくる雲雀に、綱吉はさらに真っ赤になりながらも小さく小さく呟いた
「どうせならオレも――」


【Destiny】
(貴方と結ばれるのは運命、だと思いたいのです)
作品名:Destiny 作家名:雪兎