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日本のオタクは大丈夫か?

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「ルシフェル、一体あれは何なんだ」

 下界の様子を覗いていたイーノックは、
 米粒のように蠢く生き物を見て思わず声をかける。

「どれ・・・・・・あぁ、これは君と同じ人間じゃないか」

 ルシフェルは腰に手を当て、ほくそ笑んだ。

「人間?」

 信じられないというようにイーノックは聞き返す。
 ルシフェルは無言でニコリと笑い、持っていた
 ビニール傘をクルクルと回した。
 最近はいつもそうだ。

「これはイベントだよ。行われるのは年に36万・・・・・・・
 いや、2回だったかな?まぁいい。確かコミックマーケット
 と呼ばれるものだった気がする」

 ルシフェルは楽しそうに言ってイーノックの後ろからそれを見る。

「イベント・・・か。それにしても、こんなに人間が集まるなんて・・・
 何故なんだ。なぁ、ルシフェル、ここは神がいるというのか?」

 真剣な表情でイーノックは尋ねた。
 ルシフェルは声を上げて笑い、自分の書記官の肩に手を置く。

「人間だと言っただろう。君は人の話を聞かないからな・・・・・・
 何故、人が集まっているのかは知らないが、目的があって
 来ているのは確かだぞ」

 見てみろ、とルシフェルが指で示す。

「あんなに嬉しそうな顔をしている」

「本当だ。こちらも幸な気分になる」

 イーノックは嬉しそうに笑った。

「変だな・・・・・・あの人間達はポスターの絵に
 キスをしている。人間は人間とする筈だ」

 そして直ぐに顔をしかめながら、再びルシフェルに質問をした。 
 するとルシフェルはため息をつく。

「最近はよくある事だよ、イーノック。神は言っている
 生まれ変わったら、2次元で生きたいという人間が
 多くて困ると」

 理解出来ないというように肩をすくめる。

「叶わない恋に、人間は憧れているんだ」

 そう言ってルシフェルは興ざめしたかのように、
 イーノックから少し離れた。

「そうか・・・・・それなら理解できる」

 イーノックは何度も頷いてルシフェルを見つめた。

「こんなに近くにいるのに、貴方と私は結ばれてはいけない」

 顔色1つ変えずにイーノックは続ける。

「だけど私は貴方をとても愛しく思う。それと同じなんだろ?」

 いつものように笑い、ルシフェルに呼びかけた。

「・・・・・・・そうだな。だけど、1つだけ違うところがある」

 ルシフェルは傘を置くとイーノックに近づく。

 そして、少し顔をあげて軽くキスをした。

「ルシフェル・・・・・・・」

 イーノックは顔を赤くする。

「これは神からの祝福だ。・・・・・・・・・・ほら、
 私達は触れ合えるだろう?」

 ルシフェルは、耳元で囁くと踵を返して
 傘を拾った。そして振り向かずにイーノックから
 離れる。


 -----また失敗してしまった。

 
 イーノックの表情を思い出して、頬を染める。
 ルシフェルは躊躇いながら、指をならした。














 
「ルシフェル、一体あれは何なんだ」

 さっきと全く同じようにイーノックは質問する。
 ルシフェルは苦笑した。

「さあ、私には分からないんだ」

 そう言って傘を回す。






 手に入らないものを
 欲しがるのは、
 大天使でも同じなのだ。



 end.