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きみがいてしあわせで

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「すきだよ、グリーン」

そう言うと、今まで何か口喧しくまくし立てていたグリーンの動きがぴたりと止まって。
一拍、置いた後。
ぶわっとその色の白い顔が赤く染まった。

(…おもしろい)

途端にさっきまで滑らかに動いていた口は動きをにぶくして、言葉にならない言葉を吐き出しながら開いたり閉じたりを繰り返している。

(コイキングみたいだ)

その様が、愛嬌のある顔をした某水ポケモンに似ていたものだから、ついくすりと小さく声を漏らして笑ってしまった。
その途端、急に強く腕を引かれて、気がついたらすっぽりとグリーンの腕の中に包まれていた。

「なに?」
「何って、お前なぁ…っ!」

まるで怒っているような声だけど、これはグリーンの照れ隠しだって分かっているから何だか可愛く思える。

「だって、すきだって、そう思ったから」

言っちゃいけなかった?
そんな気持ちを込めて宝石みたいに綺麗な緑の瞳を見詰めると、グリーンは更に顔を赤くしておれの顔をぎゅっと肩口に押し付けた。

「お前はいつも急すぎんだよ!」

心臓がいくつあっても足んねえ、なんてぶつぶつ言いながら抱きしめる腕の力を強くしたグリーンは、暫くそうした後、おれの耳元に優しくキスをして

「…俺も好きだ」

と、蚊の鳴くような声で囁いた。
お返しに首筋にキスをしたら、あんま煽るようなことしてっと知らねーぞ!って怒鳴られてしまったけど。





きみがいてしあわせで


…別にすきにしてくれて構わないのに。
作品名:きみがいてしあわせで 作家名:実吉