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酒は大抵トラブルメーカー

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 これはいっそ回収とでも言うのではないだろうかと思いながら、クレスは横抱きにしていたミントを彼女のベッドに寝かせた。
 年明けの朝早くから酒に酔ったアーチェに二人で絡まれ、追いかけてきたチェスターとアーチェの喧嘩を生暖かく見守り、なんやかんやと新年パーティで思い切り騒ぎ、気がついたら散々な状態となっていた。具体的には、いつの間にかミントがアーチェによって普段摂取しない程の酒を飲まされてしまった。クレスが気付いた時には、意識は失っていないようだが瞳の焦点が合っていないというか虚ろだったもので、体調を崩す前にアーチェからミントを引き剥がした。
 もう夜が更けてきたからと理由をつけてチェスターにアーチェを引っ張って行ってもらったはいいものの、去り際にアーチェは「頑張ってね~」と残していった。
 何を?


「クレスさん……」

 横になったまま、ミントがクレスの腕に触れてきた。声が何となく甘く聞こえるのは酒のせいだろう。

「大丈夫かい? 体調がおかしくなったら、無理せずに言ってね」
「それは平気……ちゃんと気分が悪くなる前に、飲むの止めたから」

 アーチェに無理矢理飲まされていたように見えたが、彼女なりに制限して飲んでいたのだろうか。確かに顔色は悪くない。むしろそれなりに飲んだおかげか、いつもは色白なミントにしては血色が良いくらいだ。

「あ、でも」
「何? やっぱり気持ち悪い、とか?」

 ミントの手がクレスの腕を伝って、クレスの頬に到達する。やはり体調を崩してしまったのだろうかと思っていたクレスがミントのその行動によって固まった。

「あのね……したいんです」

 彼女は一体何を言っているのか。はて、と、クレスは頭に疑問符を浮かばせた。それってどういう意味。したい? 何を?
 状況を確認する。夜。ミントの部屋で二人きり。ミントはベッドに居る。そして固まるクレスをよそにさっさと起き上がると自らの衣服を脱ぎ始めた。

「い、いやいやいや! ちょっと待ってミント!」

 硬直を解いたクレスが慌ててミントの肩を掴む。その肩だって既に剥き出しだった。
 それってつまり、大人の営みの事ではないか。

「いきなりどうしたの!? 君が、そんな風に言うなんて、珍しいじゃないか」
「……嫌、なんですか?」
「そ、そうじゃなくって。むしろ全然嫌じゃない……って、いや、あの」

 思わずこちらも欲望丸出しの発言をしてしまい、クレスはぶんぶんと首を振った。正直に言ってしまうと、早くも下着姿になっているミントをこちらから押し倒してしまいたいくらいだ。
 こんな突飛な事を言い出すなんて、つまりミントは。

「えーとえーと、ミント……君、凄く酔ってるね?」

 まるで悪戯好きな子供のような笑顔を浮かべるミントを見て、クレスはそれを確信した。

「もちろん、お酒を飲みましたから、酔ってますよ」
「いやだから、もの凄く酔ってるよね?」

 と言ってる間もミントは下着を妙にしなやかな手付きで脱ぎ出している。止めるべきなのだろうが、クレスの脳の中心部分にじりじりと移動し始めている雄部分がその理性を紙一重で阻止した。

「ぐ……」

 流れるようにクレスに抱きつくミント。彼女の胸を遮っていた物は床へ捨て去られていた。
 クレスが渋い顔で天を仰ぐ。ミントの行動にここは我慢するべきか、勢いに身を任せるべきか、クレスは脆い理性の足場で一人ぐらついていた。
 強烈に誘われているとはいえ、酒に酔っている女性を襲うなど信条に反する行為なのだ。

「ね……クレスさん」

 息を多く含んだ声で囁くミント。他者が見たら驚くほど勇まし過ぎる顔をしているクレスの耳元にそっと口付けた。

(あ)

 確実に、理性の足場がガラッと崩れた音がした。
 もう後で文句を言われても謝って許してもらうしかない。……そもそも誘ったのはそっちなんだから、と、クレスは乱暴にミントを押し倒した。
 脇腹から腿に手を這わせる。唇を奪うと、酒の匂いが鼻腔にふんわりと漂ってきた。
 貪るキスを繰り返してから顔を離すと、なんとも嬉しそうに笑いかけるミントが目に入った。



「へ? クレスを誘いたい場合? そんなの「あ~んエッチしたいのぉ~」って言えば一発じゃん」
「……あの、本当にそれで良いのですか?」

 遡って、パーティ用の料理を食べながら酒を飲んでいた頃。既に出来上がっているアーチェのせいで話題が妙な方向に進んでいたが、男二人はそっちはそっちで話が盛り上がっている様子だったしミントも酔いかけていて、アーチェの暴走を止める事無く乗っかってしまっていた。
 それどころか、クレスを上手く誘うにはどうしたら良いのだろう、などとポロリと漏らしてしまったのだった。

「いくらなんでも直接的過ぎますし、そんな事言えません……」
「でもさ、クレスの事だから遠まわしに言っても理解してくれないんじゃない?」

 そうは言っても以前よりは言葉を交わさなくても判る事は増えたと思う。お互いに遠慮が無くなって来たり、単純に二人きりでいる時間が長くなったりしているからだ。
 だが、ああいった営みのきっかけはクレス主導でしてもらう事が未だに殆どだった。自分からしたい時にどうしていいか分からないと言うよりも、クレスにしてもらうばかりで申し訳なくて、今まで誰にも言えなかったがミントにとって小さな悩みとなっていた。

「やっぱぶっちゃけた方が早いと思うんだけどなぁ」
「そんな……恥ずかしい、ですし」
「えー。んじゃぁ……これ」

 抱えてた酒瓶をミントの前に差し出すアーチェ。

「酔った勢いで誘っちゃえば恥ずかしくないんじゃない?」
「ええっ?」

 ミントが持っていた空のコップに有無を言わせぬまま酒が注がれる。困った顔でアーチェを見ると、アーチェは上機嫌で自分のコップを呷っていた。

「……」

 部屋の明かりを反射する透明な液体をじっと見るミント。
 これを使って酔いに任せてクレスを誘っても、クレスは困ってしまうかもしれない。だが躊躇しているばかりではいつまで経っても今のままだ。

 翌日の事はあまり考えたくないな、と思いながら、ミントはコップの酒を胃の中へ一気に流し込んだ。
作品名:酒は大抵トラブルメーカー 作家名:柿本