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涼風 あおい
涼風 あおい
novelistID. 18630
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【表示的な意味で】年賀状背景(音日ver.)【完全版】

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「あけましておめでとう、日向」
 元日の昼過ぎ、おせち料理でふくらんだ腹を落ち着かせながらゴロゴロしていたら、音無が訪ねてきた。初音ちゃんが友達と出かけて暇になったから遊びに来たらしい。俺も暇を持て余していたので、音無を家に上げた。
「おばさんは?」
「デパートの大売出し。親父はその荷物持ち」
きっと今もうすでにぐったりしていることだろう。
 音無を居間のコタツへ座らせ、俺はお茶の用意をする。
「これ、今学校で流行ってるゲームだな」
 TVに繋げられたゲーム機の脇に置かれたソフトを手にとって興味深そうに見ている。
「音無もやるか?2人でも対戦できるしさ」
「俺初めてなんだから手加減しろよ?」
「…多分要らないけどな」
 俺には予想がついていた。音無は勉強ができるだけでなく、あらゆる面で器用だ。コツを掴むのが早いのか、上達が早い。
 案の定しばらくやっていると音無の勝ちが多くなり、やがて連勝されるようになった。
「あー!もうやめようぜ!音無強すぎ!」
「そうなのか?」
 本人に自覚がないから性質が悪いよな。俺が弱いわけじゃない…はずだ。学校の仲間の中ではこれでも1位2位を争うくらい強い方だ。それでも音無の方が勝つのは、俺の弱点をつかれてるからだと思う。
 俺はため息をつきながらコタツへ戻った。遅れて音無も戻ってきた。
 コタツの上に置かれた籠の中のみかんを手に取り、音無にもすすめた。乱暴にみかんの皮を破ると、実の皮まで破ってしまったらしく、その勢いで飛んだ果汁が俺の目に入った。
「いっ…て」
「大丈夫か?洗ってきたほうがいいんじゃ…」
「ん…だいじょう、ぶ。サンキュ、音無」
と言いつつも目から涙が溢れる。
 果汁がついた手を布巾で拭こうと手を伸ばすと、その手を音無に掴まれた。
「え?」
 俺の頭上にクエスチョンマークが浮かんでいる間に、音無は俺の手を口元に持っていくと、指先をペロリと舐めた。その瞬間俺の頭上にあったクエスチョンマークは一瞬で消え去り、エクスクラメーションマークが浮かぶこともなく真っ白になった。
「なっ…!?」
 一瞬の後我にかえった俺は音無の腕を振り払おうとしたが、予想以上に強い力で掴まれていてそれは叶わなかった。音無はそんな俺に構うことなくそのままその行為を続けた。
「音無っそこ汚れてないからっ」
 言葉で抵抗したものの、俺の意見を聞く気はないらしい。
「嫌ならやめるよ」
 拒めるわけないって分かってて言う音無はやっぱり性質が悪いと思う。