太陽
子供の頃、といっても海に出れば子供として扱われない年齢の頃から大人になった今でも、それは変わらない。
ナイジェルの前を常に行く、黄金の太陽。
それが、ジェフリー・ロックフォードだった。
陸に上がって数日。怠惰な時間を好まないジェフリーは、早速目の前のブルネットの友人を、壁の端に追い込めていた。
「なんの真似だ」
「船の上でしようとするとお前は怒るだろう?」
「陸の上でも同じだ」
何度も拒まれたが、最近は多少許してくれるようになった親友の肩に顎を乗せて、ジェフリーは子供のように懐いた。
こうされるとナイジェルは弱い。年は変わらないが、ジェフリーは兄になったり弟になったりする。
そして、ジェフリーは子供のように甘える事で、ナイジェルの警戒が弱まる事を知っていた。
「……いい加減にしろ」
「何も犯そうとしている訳じゃない」
ジェフリーは、金の髪でナイジェルの首筋を擽りながら、言葉だけで体を強張らせる腕の中の男を愛しいと思った。
「ジェフリー…」
「お前が恐がるような事はしない。約束する。…だが俺も寂しくなる時が有る」
「子供だな」
「ああ、子供さ。だから甘えさせてくれ」
ナイジェルは溜息をついて金の髪に指を絡ませた。こうされるのが、ジェフリーは好きだ。優しく梳くと、猫のように目を細める。
「やはりしたいな」
駄目か?と言外に聞いてくる。ナイジェルは無視した。
「ナイジェル?」
「…………」
「ナイジェル…」
ジェフリーは連れない親友の眼差しを覗き込んだ。繰り返し名前を呼ぶ。
「やめろ…」
「逃げようとするからだ」
ジェフリーは絡んでくる視線に気を良くし、ナイジェルの顎を持ち上げた。