二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

胡蝶蘭を手に持ち、あなたへ会いに行こう

INDEX|1ページ/1ページ|

 


「ねえ、スガタ。ちょっと味見、してくれないかな?」
首を僅かに傾げ、小皿を差し出すタクト

ふわり、と食欲の誘う匂いが鼻腔をくすぐり、眼前には黒いエプロンを付けた彼の姿
ここは男の夢のふりふりピンクを、と差し出したら即効却下されたが、これはこれでいい

手際から見て、相当料理が得意そうなタクト
新年そうそう、キッチンを貸してほしいと、頬を染めておねだり(だがそれはスガタ目線だ)する彼は実に目の保養だった
…毒とも言えたが

(花嫁修業みたいだな)

「スガタ?」
「…ああ、何でもない。味見だな、分かった」
(しまった。一瞬意識が飛んだ)

内心を悟られないよう、にこりと笑みを浮かべ、小皿を受け取る
だがタクトはそんな彼に一瞬眉を顰めるが何時もの事と流すと、味を見るスガタにどうだ、と視線で問いかけてきた

若干不安そうに見つめる彼に笑みを零し一口含むと、いつも食べる料理とは違う──暖かく、そして優しい味が広がる
「タクト……」
「な、何?」
小皿を素早く置き詰寄ると、がしっと手を握り、もう片手で彼の腰を引き寄せ満面の笑みを浮かべるスガタ
その表情に嫌な予感を覚え、顔を引き攣らせ遠ざかろうとするタクトだが、相手の力は強い


「嫁いでこい」
「なんで!?」
そして、いきなりの言葉…いや、前々から怪しい事は多々あったが、吹っ飛んだ言語に思わずタクトは突っ込んだ
スガタはそんな彼に構わず、腰に回した手を後ろにやると背中に滑り込ませ、するりと直に触れる

「ち、ちょっと…ッ」
「なあ、タクト。お前の手作りもいいが…それより今はもっと別のが食べたい」
「べ、別の…?」
「ああ……」
くっ、とさらに引き寄せ、赤く色付く耳に小さく、甘く囁く

──タクトが食べたい

ぴしりと固まると猫のように目をまん丸と見開き、微動だにしないタクト
その様子に先程とは違う、柔らかい微笑を向けると彼は次第に顔を真っ赤に染め、はくはくと口を開け閉めする

「だめ?」
(…否定できないと知りながら、そう問いかける僕は意地悪なんだろうな)
内心そう思いつつも、にっこりと笑いながら掴んでいた手を彼の指に絡め、ひたすら待つ
やがて僅かに、触れていなければ気付かない程、ほんの僅かに頷く姿に小さく息をつき、そっと頬に熱を落とす


「…姫始め、かな」
「またそういう事を…ッ」
今だ慣れないタクトに笑みを深め、だが絡めた指を握り返す動作に愛しさを覚える


「明けまして、おめでとう。タクト」
「おめでとう、スガタ」


────後はもう、ただ最高の料理……至上の愛を味わうだけ







(…手作り、君に食べて欲しかったのに)
(ごめんごめん。今度はちゃんとお前ごといただk…)
(何言っちゃってるかな…!このばかスガタッ)
(いた…ッ)


…甘々には前途多難のようだ、ワコ
(そりゃそうよねー)