@Twitter.01/ヒバツナ
――――早く行かなければ……。
何かに急かされるような気持ちで、綱吉は前へ前へと足を進める。
急がなきゃ。けれど、どこへ?
そう疑問を抱いた瞬間、綱吉の目の前に病院が現れた。
そうだ。オレはここに向かっていたんだ。と思う。
けれど、どうして病院に?
そう思ったのと同時に、脳裏に浮かんだのは雲雀恭弥、その人だった。
あんなに強い人なのに、雲雀と病院は綱吉の中で容易に結びつく。
それはきっと、随分昔、入院先で同室になったときの出来事が、綱吉の中に深く根を張っているせいだろう。
「忘れようったって、そう簡単には無理だよね」
呟いて、くすりと笑う。
あの人のことを考えてこんな風に笑えるようになったのが、少し不思議だ。
でも、今は笑っている場合ではない。
ここに雲雀がいるということは、きっと何かよくないことがあの人に起きたのだ。だから自分はこんなに慌ててここまで来たのだろう。
綱吉は入り口の自動ドアを潜り、受付へと向かう。受付には、どこか懐かしいような木製の万年カレンダーが置いてあった。
その日付に、綱吉は首を傾げた。
何だろう? 大切な日だった気がするのに。
頭の隅に浮かんだ引っ掛かり。綱吉がそれを深く考えるより先に、中から白衣を着た男が顔を出した。
「何の用だ?」
「雲雀さんの病室は」
口にしてから、それがリボーンだと気づいて、綱吉はぱちりと瞬く。
「どうしてお前が?」
リボーンは「それはこっちの台詞だぞ、ダメツナが」と、いつもの調子で罵って劇鉄を起こした。
「夢の時間はおしまいだ」
空気が弾ける音がして、綱吉はびくりと体を揺らした。
「目が覚めた?」
静かな声。後頭部がじんと痛む。
叩かれたのだろう。犯人はきっとこの人だ。
「雲雀さん…」
「まだ終わってないらしいね」
言われて視線を落とすと、そこにはよだれの跡がついた書類があった。どうやら夢を見ていたようだ。
――――5月5日。
夢の中のあの日付。それがこの、自分と恋愛関係にある人の誕生日だと気づく。
そして、夢だけでなく現実でも今日が…。
「これでラストです」
手にした印鑑をぽんと捺したら、それが休暇の始まる合図だった。
作品名:@Twitter.01/ヒバツナ 作家名:|ω・)