@Twitter.02/骸ツナ
人の心をポケットにたとえる話を聞いたことが? ない? そうですか。
伝説? いいえ、そういった類の話ではなく、もっと観念的な話です。
簡単にいえば人はたくさんのポケットを持っているということですよ。上着でもズボンでもなく、そう、その心の中にです。
ポケットにはぼろぼろのものもあれば、作られたばかりの新品もある。他にも、穴が開いていて、中身がいつの間にかこぼれてどこかへいってしまうもの、蓋がついていてボタンがかかっているもの。大きさもさまざま。
当然中身も、そして、持っている数も人によって違います。
ひょっとしたら大きなポケットが一つだけで、そこにすべてごちゃごちゃと色々なものを入れている人間もいるかもしれない。
ともかく人はそんなポケットを心に持っていて、大抵は各々の価値観で分類し、人によって異なったものをしまっているという話です。
僕は多分、そのポケットが人よりも多いタイプだと思いますよ。ええ、君よりは間違いなく。
別に多ければいいというわけではないので、そんな顔はやめてください。
――――僕には、つい2年ほど前にできた、比較的新しいポケットがあります。
今まで空いていた場所に突然現れたそのポケットには、何が入っていると思います?
……わかりませんか?
2年前、そのポケットは急に現れて、その上、僕の中でどんどん大きくなっているんです。他のポケットの存在を圧迫するくらいに。
……そうですね、いうなれば羊が入っている。その羊だけが僕に安息の眠りを運んでくるんです。
おや? やっとわかりました? わかりづらい? 口説き文句はストレートならばいいとは限らないでしょう?
君が突然自己紹介をしろなんて言い出すからですよ。僕の自己紹介には、君の存在が不可欠なんですから。
作品名:@Twitter.02/骸ツナ 作家名:|ω・)