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1/9インテ大阪無配ペーパー小話【静帝/学パロ】

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※この話は静雄と帝人が高校の先輩後輩という設定の学園パラレルです。



 図書館は好きだ。静かで、耳障りな話し声も聞くことがない。眠りたい時、眠りを邪魔されたくない時、静雄はよく図書館に姿を見せる。
 静雄の姿を目にした生徒達は静雄を避けて移動していくので、席もいつだって空いている。三限終了後の休み時間に昼食を終えた静雄は、昼休みを昼寝に充てようと図書館にやって来た。丁度いい具合に棚で周りから目隠しされるテーブルに空席を見つけて、静雄はそちらへと歩みを進める。すると本棚を抜ける途中で静雄は知った顔を見つけた。その人間は背の高い脚立に座って棚に並べられた本をせっせと並べ直していた。

「おまえ、何してるんだ?」
「静雄先輩?」

 静雄に声をかけられて驚いた顔を向けた人間は竜ヶ峰帝人といった。静雄の二学年下の後輩だった。

「こんにちは。うちのクラスの図書委員が入院してしまったので、代理で委員の仕事手伝ってるんです」
「クラス委員ってそんなこともしなきゃいけねえのか?」

 他の図書委員が穴を埋めればいいんじゃないのかと静雄は思った。

「手伝いって言っても一回ジュース一本で買収されたんですけどね……今月、読書月間で仕事が多いから、他の図書委員の人に申し訳なかったんでしょう」
「おまえ人がいいなあ」
「そんなこと無いですよ。ジュース一本でも貴重な労働の対価ですから」

 そうは言うが、帝人がネットビジネスを手がけて普通の高校生の小遣いやアルバイトでは稼げないお金を持っていることを静雄はよく知っている。そのくせ貧乏性というわけでは無いが、消費することにはあまり執着が無いから、その金は貯まる一方だ。

「先輩は本を借りに来たんですか?」
「いいや、昼寝だ」
「あははは。それなら作業する棚、移動しますね」

 静雄は脚立をお利用とする帝人を制して首を振った。

「いや、続けていいぞ。少しくらい音があったほうが眠れるからな」
「そうですか?」
「ああ」
「じゃあ、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」

   +++

「あれ?」
「静雄さん、起きました?」
「竜ヶ峰?ああ、そうか図書館で昼寝して……」

 静雄が目を覚ますとなぜか目の前に帝人の顔があった。その表情はやけに機嫌が良く見えた。

「もう五限始まっちゃいましたよ?」

 静かだが、確かに人の気配のしていた図書室は、今はがらんとしている。

「なら、おまえも教室戻らないとだめだろ?」
「そうですよね」

 同意しながらも帝人は静雄の隣に座ってにこにこと笑っている。

「おまえ、もしかしてずっと見てたのか?」
「ずっとじゃないですよ、ずっとじゃ。昼休み中は本棚の整理してましたし……」

 携帯の時計をみると、昼休みはすでに十分前に終わっていた。少なくとも昼休みが終わった後はずっと静雄の側にいたのだ。

「ったく、趣味が悪ぃぞ……」
「すみません。あんまり寝顔見たことないなあって思って……」
「そうか?」

 そんなものを見て何が面白いんだろうか。帝人の家に泊まりに行った時にいくらでも見れるだろうにと静雄は思った。

「家だと気づいたら寝てしまってること多いので……」
「ふうん」

 そう言われてみると宵っ張りの帝人よりも静雄の方が朝の目覚めも良いし、体力的に劣る帝人は行為が終わるとそのまま気だるそうに瞼を閉じてしまうことが多かった。
 学校で不埒な事を思い出してしまってまずいなと反省しているところだったのに、帝人は静雄の肩に腕を乗せ、静雄の顔をじっと覗き込んでいた。

「んっ…いたあっ!?」

 静雄の心の内も知らず、寄せられる唇に、静雄はぽかりと帝人の頭を叩いた。静雄にしてみれば軽く叩いただけだが、与えられた方の衝撃は大きかったのか、帝人は頭を押さえてその場にうずくまってしまった。それでも静雄は甘さは見せなかった。

「もう起きたんだから教室戻れ」
「しずおさん……」

 帝人は「ひどい」と言って、上目遣いで静雄を見ていた。
 だが静雄はそんな帝人を視界からはずして、やおら椅子から立ち上がる。

「……名前呼んだのは静雄さんなのに」

 帝人のつぶやいた声が耳に入った静雄は、びっくりして勢いよく後ろを振り返った。すると帝人がしてやったりと笑みを深めて自分の方を振り返った静雄を見ていた。

「……嘘だろ?」
「嘘じゃないです」
「……嘘だ」
「ほんとですって」

 帝人が静雄を引っ掛けるために嘘をつぶやいたのだと思った。けれど、帝人は嘘じゃないと首を振る。目が覚めたときやけに機嫌がよかったのは、なにも静雄の寝顔が見れたからじゃないというのか。

「嘘だったら怒るぞ?」
「嘘じゃないですからどうぞ」

 その声は自信ありげに、はっきりとしていた。ゆっくりと帝人の立つ場所まで戻っていく静雄を見て、帝人がさらに笑みを深めるのがなんだかしゃくだった。

「……今回だけだからな」
「もう図書委員の代理は頼まれないと思いますよ?」

 今回という言葉は図書室にかかるわけじゃない。そう言おうとした静雄の声は、重なった帝人の唇の奥にのみこまれてしまった。


(終)