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雲雀が自分の部屋でおでんを食べている、という珍しい光景を見ながら、綱吉はみかんをむく。
 おでんは一度にいっぱい作ったほうが美味しい。
 そんな理由で奈々が大量に作ったおでんは、冬の間中ストーブの上でことことと、具剤を足されながら温まっていた
 いつものように窓から部屋に入ってきた雲雀が空腹を訴えたため、綱吉は迷わず階下のストーブの上にあったおでんを持ってきたのだ。
「オレも一つもらっていいですか?」
 夕食後ではあったけれど、人が食べているのを見ると不思議と食べたくなる。そう問いかけた綱吉に、雲雀は
「しょうがないね」
 頷いて箸を回してくれた。
 綱吉は雲雀使っていた箸を使うことに、少しだけ羞恥を覚えながらも、なんでもないふりで玉子を二つに割ると口に入れた。
「あ」
「え?」
「玉子、一つしかなかったのに」
 言われてパチリと瞬く。見れば確かに、玉子はツナが割ったものだけのようだった。
「じゃ、こっちは雲雀さんがどうぞ」
 半分にした玉子をさすと、雲雀が頷いて口をあける。その行動に綱吉は首を傾げた。
 けれどすぐに「はやくしなよ」と急かされて、意図に気付く。
「は、はい……」
 震える手で箸を持ち直し、玉子を雲雀の口に入れた。
「ん、美味しい」
 雲雀の言葉に綱吉は、ようやくつまっていた息を吐き出す。
「次はちくわがいい」
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