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きみこいし
きみこいし
novelistID. 14439
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ひとつ箱の中<後編>

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だがその瞬間、ぷしゅーーと再び頭から大量の湯気をあげてコロネロは硬直する。顔から火を吹き出して、一気に耳まで真っ赤である。
それもそのはず、腕の中にはやわらかな体、密着した華奢な体から伝わる鼓動に、甘い香りが鼻先をくすぐり、はだけたシャツからは白い肌が覗く。上気した頬は淡く染まり、間近に見える琥珀の瞳は熱と涙に妖しく潤んで、―――何もかもがひどく艶めかしい。
それは、純情な青年には目の毒というものだ。
あらためて現状を認識したコロネロは、あわあわと視線をさまよわせると拳を握りしめ、
「・・・う、うぉおおお」
気恥ずかしさなのか、ツナヨシの色気にあてられたのか、コロネロは身悶えする感情にその拳を震わせると、
「え、ちょっと!まっ!!」
―――力いっぱいコンテナに鉄拳を叩き込んだ。
「極・限・太・陽(マキシマム・キャノン)!!」
弟子にできることは師匠にもできる。極限な威力を持つ必殺技が炸裂、コンテナは見事木っ端微塵に四散した。
「ふぎゃーーー」
爆発の勢いに巻き込まれ、ツナヨシは空中にはじき飛ばされる。
「何でこうなんのーーーーー」
叫び声が尾をひいて、ドン・ボンゴレの小柄な体は見る見る内に青い空に吸い込まれていった。


それから半日後、マフィアランドの海岸で回収されたツナヨシ。
海を漂流し、なんとか岸にたどり着いたものの精根尽き果てたツナヨシは、遺憾ながらここ数時間分の記憶をスッパリ、キッパリ、なくしていたのである。

コロネロにとっては幸か不幸か。
――――真相はひとつ箱の中。

END.