竜ヶ峰寮①
キッチンで晩御飯の仕込み中、軽い衝撃と同時に背中からすっぽり抱きこまれた。
「臨也さん、お帰りなさい…っていうか早くないですか?」
壁に掛けられた時計を見ればお昼をちょっと過ぎたあたりだ。
今日は確か平日のはずでは?
「早く帝人君に会いたくて帰ってきちゃった~」
「学校はちゃんと行かないとダメですよ?」
めっ。
膨れたほっぺもかわいーなー。 デレデレ。
「だいじょ~ぶ!出席日数もちゃんと計算してるし、成績だって常に主席をキープ中よ?留年なんてありえない。」
ゴロゴロ スリスリ。
「くすぐったいです臨也さん。」
「だって帝人君、いい匂いがするんだもん」
ゴロゴロ スリスリ。
「香水なんて付けてないですよ?」
「違うよ。帝人君がいい匂いなの」
ゴロゴロ スリスリ ―――――――― ちゅっ!
“バゴォォォォォォォォォン”
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「いぃぃぃざぁぁぁぁぁや~~~~!!!」
「何だよ静ちゃん煩い帰ってくんな邪魔だウザイ死ね」
「テメェが死ねよ!帝人から離れやがれぇぇ!!」
「ストップ!」
「「―――っっっ!!」」
「静雄さん、振り上げてる食堂のイス置いてください。臨也さん、包丁返してください。」
「……ぉう」
「……はぃ」
―――――マズイ。非常にマズイ。
「静雄さん、さっき投げつけたのお弁当箱ですね。きっとまたボコボコへこんでます。」
「…うっ」
「一緒に選んで買ったお弁当箱なのに…悲しいです」
「わ、悪かった…」
「臨也さん、刃物は人に向けないってこの前約束しましたよね?」
「う、うん…」
「約束破ったんですね?それも料理に使う包丁を使うなんて…」
「ごっ、ごめん帝人君!もうしない!本当にもうしないから!!」
「じゃぁ…二人とも」
「「はい!」」
「学校に戻れ」
「「はいっっ!!」」