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予行練習

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「うっわ、何やってるんだよお前ら」
「うっわとは失礼な!ほら、御覧の通りさ。可愛い髪型をシミュレーションしていた所だよアス」
「……状況も理由も、見ても聞いても分かんねえよ」

長いストレートの長髪を三つ編みにしているスーツ姿の針金男。
緩くウェーブのかかった黒髪を頭の上で二つに括る…所謂ツインテールをしている燕尾服の男。
二人とも顔は悪くない。首から下の格好もまぁ小奇麗にしている。
が、髪型の違和感がありすぎる。
髪型というのはここまで重要な役割をしていたのかと改めて感心するほど。
なんでいい大人が二人して二次元美少女のような髪型をしているんだ。
頭の外見。そして主に中身がおかしい。

「何の為に……」

疑問をそのまま口に出すと三つ編みが得意げに語りだす。
ツインテールは押し黙ったままで、こんな状態でもやはり照れる素振りもなく相変わらずの無表情だ。

「この現場を見て分からないなんて……アスは一体何年私たちと家族やってるんだい?まず、いいかいアス。妹ができたらまずは『お兄ちゃん』と呼ばせるんだ。お兄様も捨てがたいがやはりベストは『お兄ちゃん』だろう。兄貴など論外だし、にーにーも媚びすぎていてあまり良いとは言えないな。次に髪型だ。妹と言えば二つ結び!ツインテール!よってトキに実験台になってもらったんだ。それと例外的にメガネっこが来たと仮定しての髪型が今私のしている三つ編みだ。アスも分かっているとは思うが眼鏡に三つ編みは必須だ。まぁここまで言えば理解の遅いアスでも分かってくれるだろう。これはいわば妹ができた時に慌てないための予行練習なんだよ!何事も準備が必要だろう。天災があったときに防災バッグを用意していればすぐに避難できるように、妹がもしツインテール属性じゃなかった場合、私がツインテールのスキルを持っていれば絶対に役に立つだろう?備えあれば憂いなしとはよく言ったものだな。格言はこんなように真理を突いているから持て囃されるのだろうね。まぁそれをさっきふと思い出して実行してみたわけだ。幸いトキが快く了承してくれたおかげで滞りなく私の目的は果たされた。ありがとうトキ。君にはとても感謝しているよ。妹ができたら一番に見せてあげるからね。ああ、アスは2番目に見せてやるからな、なにそんなにがっかりするんじゃない。私は意地悪しているわけではないんだ、そこを誤解してもらっては困る。アスだって私の大切な家族だ。ただ、今回の件での貢献度が違うだけで。如何せんアスは髪の毛の長さが足りないようだから最初から除外してしまったわけだが私は、」

「あーもういい分かった分かった」

このまま聞いているとこの男は何時間しゃべり続けるか分からない。
特にまだ見ぬ妹や家族がらみとなると普段のお喋りが二倍、いや、二乗になるようでいつも途中で遮らなければいけない。面倒くさい男だ。

「大体、トキもちゃんと断れよ。いいのかこれで」

机に置かれた鏡で自らの顔を覗き込む。
数秒、髪型を見て考える素振りをして、

「……悪くない」

いや、まぁ、確かに違和感はあるが気持ち悪いと言うほどではない。
とは言え、綺麗と表現される顔面であってもやはり男の顔、似合ってはいない。
消去法で行くといつものトキの口癖が当てはまる様態ではあるが……いや、でもこれは、違うだろ……。

「だろう?我ながら素晴らしい出来だ。」

そのやり遂げた感満載な表情をやめろ。
確かに器用さは認めるが。

「……レン」
「ん?なんだいトキ」
「妹が、もしショートヘアだったらレンはどうするんだ?」
「……」



人は心底絶望したときにこんな表情をするのかと初めて知った。
作品名:予行練習 作家名:桐風千代子