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BAD END

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何を帝人君は望んでいるの?

ああ、別に君を惑わせようなんて考えていないよ。
‥もうね。

疑わしい目をしないでよ。それともワザと?

だってさ

帝人君
君はもう、全てを手に入れたじゃないか。



ブルースクエア‥黒沼青葉の企てを踏み台にして上手く立ち回ってさ、今や君はごく一握りにしか知られないままにしてダラーズの頂点にいる。
‥まさかシズちゃんも手懐けてしまうとは思わなかったけど‥。

そんなつもりはなかった?
‥知ってるよ、シズちゃんは勘が良いから下心持って接していたらすぐバレちゃう。
それくらい俺は学生時代から身にしみて知っているからね。

俺が言いたいのは別の意味でだよ‥まあわからないならいいのさ。


とにかくだ。
君は俺の手のひらの上で俺の気付かない間に駒を集めていた。

そんなことしていないです?
まるで僕が悪人みたいじゃないですかって?

‥まあ、君の周囲が驚くくらい君に味方したことも主原因だからね。
粟楠組は最早君には手を出さないだろうさ。
池袋最強も、セルティも化け物達も君の味方だ。
かれらは人間よりも人間臭くて‥笑ってしまうよ。
彼らが君を裏切ることはしないだろうさ。


‥ダラーズ以外にも随分味方をくっつけたものだね。
まさかあいつまで味方するとは考えなかったなあ。


まあ雑談は後にして‥そしてだ。


君は俺に勝ってしまった。

え?もう、今更帝人君を憎むわけないだろ?

俺はむしろ人間が‥君が‥ここまで成長したことを喜ぶべきなのさ。
俺は死ぬのだけは嫌だからね、殺さないだけありがたいことさ。
おかげで興味深い君をこんなに近くで観察できるしね。
知っているだろうけれど、人間観察は変わらず趣味だよ。


そんな風に、勝手にして下さいって言いながら

君は僕を手放さないね。
‥君のサメはいつも嫌そうな顔をするけれどね。




‥何を考えているの?


‥君は望んだ『非日常』に追いついて、すっかり自分のものにしてしまった。
その上君がダラーズの頂点にいるからこそ、3日として同じことのない『非日常』を楽しんでいるじゃないの?

竜ヶ峰帝人君、
何を君はそんなに浮かない顔をしているのかな?


‥そう?
君はいつもは純朴だけれど、こういう時は笑ってごまかすようになったよね。
『日常』における君に起こった変化さ。
以前ならそうじゃないと怒ったり、本当に動揺して動かなかったのに

でも自分では気づかないだろう?
君のその笑い方、諦めきれない何かを求める暗い笑顔だよ。

こっちの世界にどっぷり浸かっちゃった君が
今更「日常」に戻りたいと思っているのかい?
園原杏里との、紀田正臣との、
あのささやかな日常に
今は君は否定しているからいいけれどね



許さないよ。


もし戻りたいなんて言い出したら
俺だけじゃない。
君に味方する『非日常』達も君をここに引き留めようとするだろう。
どんな手を使ってもね。


君は戻れないよ。


俺だって君のいない『非日常』は退屈で仕方ないんだ。
いなくなるなんて許さないから
絶対に離さないから



だから諦めなよ。

作品名:BAD END 作家名:芳生