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プラクティカル・キッス

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晴れても曇っても俺は今日から教え子を持つ先生と呼ばれる立場になったのだか、いまいちピンとこない。ピンとくるどころか、いきなり爆弾を二つも抱えさせられていささか困惑すらしている。
ほんと火影様、無茶ぶりもいいとこだよね。

うずまきナルト、うちはサスケ。
里内一の問題児と小さな復讐者。
この二人は塩素系と酸性だ。一緒の班に混ぜるな危険だ。
そんな犬猿の仲の二人を見ているとふいに苦い記憶が蘇る。
俺が初めて隊長として班を率いたあの日。
仲間の大切さを知った瞬間に、その仲間の一人は屍となった。
一緒に未来を見てやると言い残して。
左目の傷が無意識に疼きだし、同じうちはの血に反応しているのかと亡き友に問いたくなった。



「今日の任務はイモ掘りの手伝いね」
「えーーー!!忍者がイモなんか掘ってどーすんだってばよー」
ぶちぶちと文句を飛ばすナルトに、任務のレベルの低さにうんざりしたようなサスケの顔。
そしてその横顔にハートマークを飛ばすサクラ。
「はいはい。愚痴は終わってからいいなさいね〜」
「終わった後に言っても後の祭りだってばよ!」
「ナルト!アンタたまには文句言わず任務できないの?!」
「・・・ほんとうるさいな。お前ら」
「んだとぉサスケ!おめーにだけはぜってー負けねーからなっ!!」
「ドベが、イモ掘りごときに何ムキになってんだ」
「ねぇサスケくん、お前らってもしかしてアタシも入ってるの?」

こんな感じでいつもの如くナルトがサスケに突っかかり、わいわいと賑やかにイモを掘ってる最中だった。畑のすぐそばにある林の中から鋭い視線を感じそちらに目を向けると、猫面の暗部装束をきた奴が手を振っていた。
・・・なに考えてんだ、あいつ。
呑気に手を振る後輩に近づき問いかける。
「暗部がこんなところで何してんのよ」
「いや、カカシ先輩の先生ぶりを拝見していたんです。可愛い子達ですね」
「ん〜可愛いけど大変だよ。生意気だしすぐ調子にのるし、うるさいし・・・」
イモ掘りに夢中になっている三人を見ながらゆるく微笑んでいると、手の指にチクリと痛みが走った。
見るとテンゾウが俺の手を握っている、手甲したままで。
「・・・なんの嫌がらせだ、これは」
「嫌がらせで手なんか握りませんよ」
「じゃあなんなの」
「なんなんですかね」
面を付けてるため表情は分からないが、いつもより声のトーンは若干低かった。
俺が正規の部隊に行ってからコイツは変だ。別に用もないのにこうやって会いにくる。
会いにきてはこうやって俺を困らせる。
この前なんかマスクの上からだが、危うく唇と唇が触れそうな距離まで接近してきた。
その時も淡々とした口調で「すみません、口寂しかったもので」と真顔で言ってた。

「・・・先輩、この後あいてませんか?」
「この後はあいつらと焼きイモするんだよね」
「それが終わってからで構いません。大事なお話があるんです」
「・・わかったよ。お前の家でいい?」
「はい」
少しだけ声が明るくなり、握られている手が緩んだ。

ナルト達のところへ戻ると、すでにほとんどのイモを掘り終えていた。
山積みになったイモを自慢げに数えているナルトが俺に気づき、嬉しそうに駆け寄ってくる。
「先生!先生!俺ってばこんなにたくさん掘ったんだってばよ!サスケに勝ったぁ!!」
ウシシッと愉快そうにサスケの掘ったイモの山を指差す。
見た目には大した差はないが、負けたのが悔しいのかサスケはそっぽを向いている。
「がんばったな〜、お前ら」
ニコニコと三人の頭を順番に撫でてやる。
「先生!これ見て、お花咲いてたの。あげるね」
サクラから渡された白い可愛らしい花をベストの胸ポケットにさす。
ナルトの泥だらけの顔をタオルで拭っていると横から服の裾をひっぱられた。
「カカシ。暗部の奴まだいるぞ、いいのか」
チラッと林の方に目をやれば、まだテンゾウはこっちを見ていた。
「ん〜・・・いいのいいの。さてと、じゃあ焼きイモでもするか」
「やったー!焼きイモ楽しみにしてたってばよ!」
ほくほくと嬉しそうなナルトに目を細める。
もう一度振り返ってみたが、すでにテンゾウの姿はなく林が風に揺れているだけだった。

ぼんやりと座っていたら、ほっこりとした焼きイモが目の前に差し出される。
「先生、なんだか元気ないってばよ。あの猫面になんか言われたのか?」
「ハハッ、なにも言われてなーいよ」
まさかナルトに心配されるなんて思ってもいなかったので少し笑ってしまった。
子供ってのは何も知らないようですべてお見通しなんだな。
ニッコリ笑い熱々の焼きイモを受けとると、何気なしに空を見た。

俺の心とはウラハラに、爽やかな青が広がっていた。





正直言って迷惑だ。
そう言われた方がまだ諦めがつくし、次の相手も探しやすいというものだ。
なのに先輩はその言葉を口にしない。髪の毛に触れても手を握っても、キスし損ねた時だって、少し困った表情を見せただけだった。
そして僕が会いにいけば、いつも通りに接してくれる。
すべて何もなかったかのように。
今日だってこっそり会いにいくつもりが、楽しそうにしている七班に、気がつけば嫉妬の念を飛ばしていた。子供相手に何を考えてるんだろうか、ホントどうかしている。
こんな自分に決着をつけるべく、カカシ先輩に告白することを決心した。
もちろん玉砕覚悟で。冷たい視線を浴びせられようが、気色悪いと罵られようが僕は覚悟を決めた。

トントンとドアがノックされる。
ドアを開けるとカカシ先輩が立っていた。「よっ」と右手を軽快に上げ、左手には紙袋が抱えられている。部屋に通すと低いテーブルに紙袋をドサリと置き、座布団にあぐらをかいた。
「お前にも焼きイモ持ってきたぞ。あと、コレ」
ガサガサと紙袋から焼きイモと焼酎を取り出す。なんてアンバランスな組み合わせだ。
「あ、クルミの方がよかったか」
「いえ、お気遣いなく」
「・・・で、大事な話って?」
いきなりの核心に、焼酎を注ごうと持ってきたグラスを落としそうになった。
慌てて平静を装う。心臓が五月蝿かった。

「お話とゆうのはですね、えっと僕、男の人を好きになってしまったんです」
「・・・・・・へぇ、そうか」
暫しの沈黙が痛い、痛すぎる。遠いところから攻めていくべきだった。
「そ、、れでですね。こんな僕を先輩はどう思われるのかな、と・・・」
カカシ先輩を盗み見ると、グラスを持つ手がピタリと止まり、何か考えている様子だ。
そりゃあそうだろう、後輩だった男にこんなコト言われて困らない訳がない。

「苛つく、かな」
ざっくりとした検討違いの返答に僕は少し戸惑った。
「え、あの、なんで苛つくんですか?」
「なんでって、それは・・・あれ、なんでだ?」
ぱちくりと右目を瞬かせる。

「もしかして、僕が会いにくると少しでも嬉しかったりしました?」
「ああ、嬉しかったよ」
「手握られたとき、ドキドキしました?」
「ああ、したよ」
「唇が近づいたとき、先輩なに考えてたんですか?」
「ああ、ついにきたかって」
これはひょっとしたら、ひょっとするかもしれないと淡い期待が確信に変わる。
「それは・・・好きっていうんじゃないんですか?」
作品名:プラクティカル・キッス 作家名:ユラン