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指先で気づいて、言葉で知らせて 2

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授業終了まであと10分…。教師が教科書を淡々と追うだけのつまらない授業は、
教室の時間の流れを3倍にも4倍にも感じさせる。それでも音をたてず滑るよう
に回る秒針は、確実に時を刻んでいた。
教室の生徒がちらちらと時計を気にしたり、内職に勤しむ中、アーサーは真剣な
面持ちで黒板を見つめていた。しかし彼の脳内は何百回と繰り返した言葉をまた
繰り返す。

菊…

アーサーが気にしているのは、昨日メールを送信した相手からまる一日返信が来
なかったことだ。今まで返信が全くないということがなかっただけに、アーサー
は返信が無い理由を延々と考え続ける。

昨日は忙しかったのか、それとも風邪でもひいたのだろうか。
考えれば考えるほど出口の無い思考はアーサーにとって最悪の事態に行き着く。

迷惑…だった、か?

現にアーサーの送ったのは連絡事項でもなければ、返信が必要なものでもない。
天気の話、学校での出来事、今日の宿題…
菊に迷惑がられてるなんて思いたくないのに、そう思えてしまう。それは菊が絶対に迷惑だなんて口にしないから。

アーサーの気持ちは晴れる事なく授業終了のチャイムが時を告げる。
アーサーは前の授業から一行も増えなかったノートを閉じ、教科書をきれいに積み隅によけた。教室は活気をとりもどし、固まっていた人々は好きな場所に散っていく。

もうお昼だ。

大きく伸びをすると、後ろから男の声が呼びかけた。
「アーサー」
聞きなれた声に一瞬無視しようかとも考えたが、後で面倒くさそうなので不機嫌に返す。
「あ゛?」
「あ?じゃねーよ。ところでささっきの授業プリント見せて。写しそこねた。」
振り返ると想像した通り、脳天気そうな髭面が立っていた。