何も分からないから、此処に居るの
少女の頭にはふと疑問が浮かんだ。
自分はどうしてここにいるのだろう。
その疑問の答えを知るべく、少女は自分をここに連れてきた青年に話しかけた。
「ねえヘッド」
ヘッドと呼ばれた青年は、少女に振り返る。
読んでいた本を胸元に置いて、少女を見た。
「なんだいサカナちゃん」
「どうしてわたし、ここにいるのかな?」
「さあ、どうしてだろう」
「どうしてわたし、檻の中にいるのかな?」
「さあ、どうしてかな」
少女の質問に、青年は曖昧に笑って答えた。
けれどそんな回答でも少女は納得したらしい。
それ以上は青年に何も言わなかった。
そして今度は青年が少女に問いかける。
少女が訊ねたものと同じものを少女に言った。
「君はどうしてここにいるの?」
「わからない」
「君はどうして檻の中にいるの?」
「わからない」
少女も青年とあまり変わらない曖昧な答えだった。
けれど、この掛け合いが少女をより納得させた。
「そう…そうなんだ」
そう呟いた少女を見て、ふっと微笑んだ青年は読みかけの本をまた読み出した。
【何も分からないから、此処に居るの】
ヘッドと魚チャン登場時に妄想した突発文です。
二人が早く仲直りすればいいと思う煉でした。
作品名:何も分からないから、此処に居るの 作家名:煉@切れ痔