二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

こらぼでほすと HGP番外編5

INDEX|1ページ/1ページ|

 
昼は作ります、と、別荘の人に断りを入れて台所を借りた。昼は基本的に、ロックオンが作っているのだが、結局、監視しているのと、作り方を覚えようとしているのと、が、いるので、三人も台所に居ることはいる。

「ティエリア、アレルヤ、サラダはエビなんだが、他のリクエストはあるか? 」

「それなら、メインはラザニアかグラタンがいいな。どう? ティエリア。」

「俺はなんでもいい。」

「おまえ、自己主張しなさすぎだぞ。メニューがわかんないんなら、あのレシピで食べたいものでも見繕えよ? 晩飯は、おまえの希望メニューにするからさ。」

 というロックオンの有難い申し出に、一応、こくっとティエリアも頷く。 あのレシピというのは、八戒から貰った刹那の好物レシピのことだ。だが、それは酒の肴とかロックオンが気に入ったものも含まれていて、結構な種類が網羅されている。で、ティエリアは基本的に食に対する拘りなんてないわけで、おいしいなんてこともない。栄養さえあればいい、という考え方だから、食べたいものがない。

「僕も付き合うからさ、ティエリア。ちょっと考えてみたら? 」

 こちら一応、食べることに興味はあるアレルヤが、それをフォローする。とりあえず、レシピを眺めつつ説明していたら、いきなり刹那が立ち上がってねロックオンに駆け寄る。

「泣いてる。」

 ええっ、と、アレルヤとティエリアも立ち上がるが、ロックオンは、カラカラと笑っている。

「たまねぎを刻んでただけだ。別に悲しくて泣いてねぇーよ。」

「俺がやる。」

「いや、やめとけ。それなら、ひき肉を炒めてくれ。」

 わかった、と、言いつつ、キッチンペーパーで、ロックオンの涙を背伸びして、刹那は拭っている。そんなに心配すんなよ、と、ロックオンは笑っているが、アレルヤとティエリアには刹那の表情の変化がわからない。たまねぎを刻んでいる最中だったから、まだ涙は流れているらしい。両手が塞がっているロックオンは、手で、それを拭っているが、その度に、刹那がキッチンペーパーで拭いている。



 シートタイプのパスタを茹でて、それと炒めたひき肉とたまねぎ、それから別に焼いたナスを交互に挿んで、耐熱容器に収めると、ホワイトソースをたっぷりかけてチーズを振りかけてオーブンへ放り込む。サラダのほうは、タコとイカとエビを、さっと茹でて、野菜とイタリアンドレッシングで合わせたものだ。それだけでは足りないだろうと、あっさりしたうずら豆のスープとタルタルソースたっぷりのエビフライなんてものが、だいたい小一時間で準備される。

「これでよかったか? 刹那。」

「ああ。」

 さあ、食べましょう、と、食卓に座って食事が始まる。半分くらい食べ終わった頃に、ティエリアが唐突に口を開いた。

「ロックオン、今晩のメニューなんだが。」

「おう、何? 」

「たまねぎを使わないものというのは、ダメだろうか? 」

「使わないものねぇー。うーん、使わないもの、使わないもの・・・・」

 料理本体には入っていなくても、玉ねぎは、割と何にでも登場する食材だ。それを入れないとなると、ロックオンのできる料理には少ない。アレルヤが、そこに助け舟を出す。

「あのね、ロックオン、中華はどう? 」

「ああ、それならなんとかなるな。使わないメニューを選んでくれ。」

 ニコニコとロックオンがティエリアに頼むと、ティエリアのほうが俯いた。

「俺は苦手だ。」

「何が? 」

「あなたが泣くのは見たくない。」

「・・・あー・・・うーん、そう言ってもなー・・・いや、おまえさんたちさ、いつも、俺を泣かせるようなことしてたと思うけど? 」

 マイスター組リーダーとしては、協調性はないわ、空気は読まないわ、人の話は聞かないわ、な、約二名には泣かされていた。実際には泣いてないが、内心、こんなの纏めるの無理だってーと叫んだのは、一度や二度ではない。だが、それでも、どうにかお互いが理解できるようになって纏められたとは自負している。

「泣かせてない。あんたが、俺のことを理解していなかっただけだ。」

「なっっ、刹那、おまえはぁぁぁぁーーー」

「本当に泣いてたのは、全世界規模のテロが発生した時と、俺に銃を向けた時だ。」

「・・あ・・・・」

 ロックオンが刹那の表情を理解しているように、刹那も、それを理解しているらしい。言い当てられたらしいロックオンは、ぴたりと一時停止した。

「じゃあ、さっきのは? 」

 慌てて涙を拭っていたから、何か意味があるのかと、アレルヤが尋ねる。

「嬉し涙? 」

「はあ? どこが? 違うだろ? 玉ねぎだよっっ、玉ねぎ。どこに嬉しいことがあるんだよっっ。」

「全員生きてるから。」

 回答があまりにもわかりやすかったので、ロックオンは、はふーと息を吐いて、『降参』 と、刹那の頭を撫でている。

「ロックオン? 」

「いや、なんていうかさ・・・こういうたわいもないことを四人でやったことなんてなかったろ? だから、平和だなーと思ってさ。」

 玉ねぎで泣いてたのが本命だけど、それもちょっとあるよ、と、照れ隠しに刹那にエビフライを差し出していたりする。刹那のほうは、ばくぅと、それを齧り、もぐもぐと食べている。誤魔化すように、また、ロックオンはエビフライを摘み上げる。

「ティエリア、おまえさんも食うか? 」

 はい、と、同じようにエビフライを差し出され、ティエリアもばくぅと齧る。さらに、アレルヤにも差し出した。

「なら、僕もロックオンに、『あーん』」

 双方差し出したエビフライに齧りついて、げらげらと大笑いしている。生きててよかったな、と、感じるお昼ご飯。