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荷物(仮題)

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まだ日が昇りかけの頃、ミッドガルの端に作られた街「エッジ」から土煙を上げながら飛び出してくる大型のバイクがあった。
運転している青年は、ゴーグルはしているもののヘルメットはかぶっていない。
モンスターの咆哮のような唸りをあげるマシンを軽々と操りながら青年はなだらかな坂を上がっていく。
しばら登り続けると、ミッドガルを見渡せる拓けた台地へと到着した。

かつてここには一振りの大剣が刺してあった。

友の形見。

友は「もったいない」とあまり使っていなかったようだったが、自分は散々振り回した挙句に「墓標」として二年近く野ざらしにしていたせいで大分錆びてしまっていた。

1年ほど前にきれいに研磨した後、彼の旅の最終地点であろう場所に移動させたのだった。



「久しぶりだな、ザックス」クラウドは自分の英雄に語りかけるようにぽつりと呟いた。
一時期はずるずると引きずっていたせいでよくこの場所を訪れていた。
「心配するな、今日は特別だ」いちいち心配されて出てこられたんじゃこっちがたまらないからな、まあ、手が掛かる奴だってのは自覚しているが、心の中で続ける。
「今日はあんたの―――命日だからな」
土産を持ってきた、と瓶を取り出す。
「ティファ特製の酒だ。味は保証する」
「あんたがどんな酒が好きか、一緒に飲んだこともないから知らないけどな」
そういうとクラウドは地面に座り、瓶のコルクを開け、中身を地面に流した。
「俺はこの場では飲めないんだ、悪いな。ここで飲んだのがばれたらティファに殺される」そういっておどけてみせる。
「あんたのお陰で俺はこうして生きている。その感謝の印だ。毎年ここに持ってくるよ」

あの時彼が何を思いながらこの地で戦ったのか ― クラウドに知る術はない。
大方、負ける気はさらさらなかったとは思うが。自分の記憶にある彼は諦めを知らないひたすら真っ直ぐな男だったから。

「俺もあんたみたいに強くなるよ。約束する」
あまり長居してもしょうがないから、と立ち上がろうとしたとき、突然風が吹き背後に気配を感じた。

そこには赤い髪、赤いコートを着て背中から片方だけ翼を生やした男が立っていた。
とたんに自分の中に深く沈みこんでいた記憶が呼び起こされる。
確か、8年前-ミッドガルに向かう途中で見たような気がする。ザックスと何かを話していた-名前は・・・
「・・・ジェネシス?」

「名を知っているとはな」と言い、意外だという表情を浮かべた。
作品名:荷物(仮題) 作家名:me