心地よい音
何時の間にベッドで眠っていたのか分からないほど、寝ぼけて時間感覚が鈍っている。
ふと目の前の窓に目を向けると、空気が澄んでいるのか、青白い月明かりが部屋を照らしていた。
体を起こそうと、身を起こすと、自分の身体に何かが乗っているのに気づく。
それにふと笑うと、俺は体を逆に向きなおして、ベッドに横たわったまま、顔を上げる。
「寒いわけだよねぇ、肩が布団から出てるし。
---静ちゃん、ベッドまで運んでくれたんだ・・・・」
もぞもぞと腕を伸ばし、静ちゃんの頬に触れる。
月明かりに照らされて、金色の髪が綺麗に映え、俺はそれに見惚れた。
「んっ・・・・、臨也?」
触れられて目が覚めたのか、ぼーっとしたまま静ちゃんが目を覚ます。
「あ、ごめん、起きちゃった?」
慌てて手を引っ込めようとした途端、今まで俺の体の上に乗っていた手が俺の手を掴み、そのまま静ちゃんは自分の頬に手を当て、そのまま擦り寄ってきた。
それに静ちゃんはほにゃりと笑うと、そのまま俺の手を布団の中に入れて、布団を肩まで掛けなおす。
そしてそのまま俺を抱きしめたかと思うと、静に寝息を立て始めた。
「---静ちゃん、それ・・・反則。」
寝入った静ちゃんを睨みつけ、そのまま目を閉じる。
ぴったりとくっついた静ちゃんの身体から、規則ただしい心臓の音が聞こえる。
それを聞いていると、段々眠くなってくる。
普段死んで欲しいと街中では言っているけど、本心は違うのはお互い知ってる。
この時間だけは、誰も知らない二人だけの安心できる時間。
「お休み、静ちゃん」
目を閉じたままポツリと呟くと、そのまま俺は眠りについた。
また起きたら、池袋で静ちゃんと笑いながら喧嘩できるように願いながら。