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不動と鬼道 4

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「ところでさ、不動って頭良いんだっけ」

 食事が済むなり佐久間が話かける。
 ったく、どいつもこいつもなんでこんなに馴れ馴れしいんだ。

「帝国学園に入れるくらいだ。馬鹿な訳ないだろう」

 何故か鬼道が答える。
 今の席順は俺と鬼道の間に佐久間がいるといった感じだ。

 俺は、わざと鬼道の隣に行かなかった。

「それは分かってるさ。肯定の意味で言ったんだよ」

「・・・・・お前はそういう会話が多いな」

 佐久間の言葉に鬼道が苦笑する。

 その時、光の加減でゴーグルが透けて見えた。
 無駄に格好良いから、不意打ちでこの攻撃はずるい。

「不動、どうしたんだ。急に黙り込んで」

 お前らしくもない、と佐久間が続けた。
 元々、俺はベラベラ話す性格じゃないんだけど。
 自分の心臓の音が急に速くなったので戸惑った。

「明王、大丈夫か?」

 鬼道が俺の顔色を伺う。

 ・・・今、下の名前で呼ばれたような・・・・・・・・・・。

「っすまん」

 慌てて鬼道は唇を閉めて顔を背けた。

 -----そんな反応されたら、俺、どうすりゃいいんだよ。

「なんだ。2人共そんなに仲が良かったのか?」

 佐久間が俺と鬼道を交互に見ながら、
 嬉しそうに笑う。
 堪えきれなくなって俺は立ち上がる。

「ばっかじゃねえの?!鬼道クンと俺が仲良い訳ないだろ」

 佐久間が「わ、悪い」と小さく呟いた。
 鬼道は表情を曇らせる。

 -----こんな顔させるなんて・・・俺のバカ。

「友好的には・・・でしょ?」

 声の行方を追うと、いつからいたのか
 正面にヒロトがいた。
 頬杖をして、場違いに微笑んでいる。

「友好的じゃないって、どういう意味なんだ」

 佐久間は表情を一瞬にして変えると、ヒロトが
 いることに驚きもせず、身を乗り出した。

「んー、言っていいのかな・・・」

 困った様な顔をして、ヒロトは俺を一瞥する。

「・・・・・・・・」

 下手に言い訳をすると、揚げ足を取られそうなので
 黙って席に着いた。

「是非とも教えてもらいたい」

 鬼道も佐久間側になったようで、腕組をして便乗する。

「佐久間、き、鬼道・・・そろそろ練習しようぜ?
 早く始めた方が良いんじゃねえか」

 俺は手を後ろに回して鬼道のマントを引っ張る。

 -----お前ならヒロトが何を言おうとしてるか分かってるだろ。

「別に聞いてからでも構わないじゃないか。な、鬼道」

 佐久間は、なおも食い下がる。

「いや、不動の言う通り練習しに行く」

 しかし鬼道は打って変わったように、意見を変えた。

「さっきの仕返しだ」

 そう言って俺の方に向き、少し悲しそうに笑う。
 そして、席を立って佐久間の首根っこを掴み、同意を促せた。

「・・・・・・鬼道が言うなら」

 渋々佐久間も立ち上がる。
 それを見計らって、ヒロトは俺の腕を掴んだ。

「触んな」

 俺は牽制を試みる。
 それに全く動じず、ヒロトは鬼道に話かけた。

「大丈夫、ちょっと不動君に用があるだけだから。
 ・・・そんな顔しないで欲しいな」

 鬼道は、今にも噛み付きそうな表情をしていた。
 佐久間の方は、状況の理解に苦しんでいるようだった。

「不動に、また何かあったら・・・・・・」

「あー、もういいから先行ってろ」

 また鬼道に心配をかけるのが嫌だったので、
 追い払うようなジェスチャーをとった。

「また、なんかあったら来てくれんだろ?」

 自分が言った台詞に思わず頬を紅潮させる。

 -----これじゃまるで、俺が鬼道を頼ってるみたい、だ。

「その通りだ」

 鬼道は微笑む。

 ・・・まぁ、たまには素直になるのも良いかな、と思った。

「鬼道、行くなら早く行こうぜ。不動も、済んだらすぐ来いよ!」

 待ちくたびれたのか、佐久間は妙に張り切りながら、
 鬼道を急かした。さっきと立場が逆になっている。

「悪いね。早々に終わらせるよ」

 ヒロトは手を振りながら2人を見送る。
 鬼道は佐久間に背中を押されながら食堂を出て行った。
 終始、不安そうに俺を見てくれていたのが、不謹慎だけど嬉しかった。

「で、本題なんだけど」

 ヒロトは俺と2人っきりになると、すぐさま話しかけてきた。

「・・・さっさと言いやがれ」

 肘をついて、俺は催促する。

「じゃあ、単刀直入に。・・・円堂君のことで、君に怒っている人が
 2人いるよ」

 指でピースサインをすると、ヒロトは席を立った。

「相手が悪かったんだ。もちろん、円堂君は君のこと
 逆恨みとかしてないみたいだけど」

 不適な笑みをうかべて、ヒロトは外に向かう。

「それだけ。・・・またね」

「待てよ!」

 思わず呼び止めた。

「珍しいなぁ、不動君が俺に話しかけるなんて」

 驚いたような表情をして、ヒロトは振り返った。

「なんで、その2人は、俺が告られたの知ってんだよ」

 嫌われるのは構わない。だけど、俺の好きな人が
 もし巻き込まれたら・・・それだけは、嫌だった。

 ヒロトは俺を凝視して、まるで全て分かっているというように頷いた。
 
「知らないよ。・・・だけど、君の好きな人はその2人に
 伝わってないみたい。不動君は、そのことが心配だったんでしょ?」

 ヒロトは得意げに淡々と話す。
 その見透かした目が、俺は大嫌いだった。

「・・・・・・」

 黙って目の前の奴を睨む。

「本当に不動君って可愛いよね。そんなこと気にしちゃって。
 あ、じゃあ、そろそろ行くね」

 ヒロトはこの状況を楽しんで笑うと、
 再び手を振って出て行った。
 俺も後を追うようにグラウンドに急ぐ。

「おい」

 廊下に出た途端、後ろから聞こえた、
 怒りを含む低い声に一瞬動きが止まる。

「へぇ・・・・・アイツが言ってたこと、本当だったのか」

 振り返ると、チームのエースストライカー、
 豪炎寺修也がいた。

 






 やっぱり俺は、

 嫌われ者らしい。