豆腐なんてりんごよりもよっぽど潰すのが簡単だよ~、えいっ!そんな風にキラはわけわからないこと言って目の前で豆腐を握りつぶす。びちゃっと飛び散る豆腐たち。顔やら髪やら肌やらにくっつく。唖然と見ていたらキラは俺の顎を人差し指でくいっとあげた。「どうしたのシン、こんな顔中に白いものこびり付かせて…やらしいなあ」「…こんなのが楽しいんですか」「うん、すごく楽しいね!だってこれ豆腐プレイだよ、豆腐プレイ。あはは。すごいじゃない」キラは興奮気味に話す。そうかそうか、俺には何が楽しいんだかさっぱり分からないぞ。豆腐を潰して、それがどうした。豆腐代と大豆を育てた農家の人の努力が無駄になっただけじゃないか。「ニートのお前のせいで俺は貧困生活を送ってるんだからな、わかってるのか?!」「ニートだなんて人聞きが悪いよ。せめてフリーターって言ってほしいな」「月二回しかバイト行ってないくせに…」砕け散った豆腐を集める。勿体無い。この馬鹿のせいで今日の味噌汁はただの味噌汁だ。具無しだ。くそ!「そんなことより僕、豆腐をくっつけたシンに興奮してきちゃったなあ~」「じゃあ豆腐集めてそれで自慰でもしてればいいでしょ」「シンって冷たいんだね」「フン、これが普通の反応ですよ」
こいつは行く先々に現れて、同棲を強要してくる。おかげで三回も引っ越す羽目になった。そして三回目の引越しで諦めた。一体この国のプライバシーってやつはどうなってるんだ。俺は静かに暮らしたいだけなのに…
「毎日寝て食べてセックスしてだらだらして、こんな幸せな生活ってないよね」「頼むから働いてくれ…」「大丈夫、お金なんかなくたって僕らの間の愛があれば生きていけるよ」「お先真っ暗ってやつですね」「人生バラ色ってやつだよ」