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さっちーお
さっちーお
novelistID. 22753
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悪の愛

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兄たちにいじめられるのは昔からのことだった。
生まれたときから兄弟仲は悪く、殴られたり弓矢を射られたりするのはいつものこと。
普通の人間なら怪我の具合次第で死ぬだろうが、自分は国だからそれくらいでは死なない。
だから兄たちの虐めは虐めの域を超えていた。
毎日傷が痛み、逃げ回りながら耐え続けた。
こんなことをされても、不思議と兄たちとは仲良くしたくて、近づいては虐められた。
いい加減懲りればいいものを、どうやら自分は愛に飢えていたらしい。
だが愛してくれる人が全くいなかったわけではない。
海峡を隔てた隣国は、口喧嘩をしても兄たちほど酷いことはしてこなかった。
それどころか、虐められて傷だらけのときは手当てもしてくれた。
自分と対等に接してくれる。
愛情はそれだけで良かったはずなのに、彼は自分が国であることを理解していたため、一つの絆では生き残れないことを知っていた。
だから隣国が優しくしてくれても、次の日には兄たちのもとへ行っている。
そんな自分を隣国は本気で馬鹿とは言わなかった。
隣国もまた、他の国と仲良くする必要性に気付いていたからだ。
恐ろしい兄たちと違い、隣国と過ごす時間は楽しかった。
互いに喧嘩もしたけれど恨み合うような関係にはならなかったし、何より国とはそういうものだと思っていた。
喧嘩し、仲直りし、喧嘩する繰り返す。
しかしそのときはまだ幼くて、大きな傷を残す喧嘩というものを知らなかった。
ある戦争で、隣国を立て直した聖女を捕らえた。
聖女は面会した自分を嫌がる素振りもせず、世間話ばかりしていた。
聖女というより変わった人間、と称した方が似合っていそうな彼女は、のちに自分の国民によって燃やされた。
そして戦争は終わり、仲直りすべき時が来た。
しかしそこで知ってしまった。
自分が処刑した聖女を、隣国が何より大切に思っていたことを。
愛する人を見捨てたと嘆く隣国に昔の面影などなく、いつもの小馬鹿にした笑顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。
処刑した手前声をかけづらい自分に、隣国はお前のせいじゃないと言った。
全ては見殺しにした自分が悪いのだと。
だが隣国は昔のように愛してはくれなかった。
彼の愛はあの聖女にだけ注がれていたから。
きっと心のどこかでは自分を恨んでいるのだろう。
仲直りなんて遠い夢だと思えるくらいに。
でも、忘れないでほしい。
自分が彼とまた笑い合いたいと思っていたことを。
深く傷つけてしまった自分に言えた義理ではないが、何度喧嘩しても隣国のことは愛している。
虐められてばかりの自分に愛をくれたあのときから。
ずっと何百年だって待ってるから、また自分を愛して欲しい。
どんなに他の国と絆をもっても、やっぱり彼の愛でなければ駄目なのだ。
だから、いつか俺を愛して。








会議が終わると、いつものようにフランスが絡んできた。
話の内容の大半は嫌味ばかりで、イギリスは当然キレて殴り合いに発展する。
そんな関係が常だった。

「なあイギリス」

「何だよ」

殴り合ってお互い体力を使い果たしたところで、フランスが口を開く。

「週末空いてるか?」

「髭にやる時間はねえ」

「いつも空けてるくせに。素直じゃないんだから」

にやりと小馬鹿にしたように笑うフランスが憎たらしいが、殴りかかる気力もないので無視した。
だが週末を空けているのは本当だ。
それがフランスと過ごすためかどうかは別にして、週末は暇だから付き合ってやってもいいかもしれない。
そもそもフランスだってイギリスを誘うのだから週末は空けている。
会いたがっているのはそっちの方じゃないか。

「なあイギリス」

二度目の台詞。イギリスは面倒くさくて相槌を打つこともしなかった。

「俺のこと好きだろ?」

「何で当たり前みたいに言ってんだよ」

フランスの声はいつになく真面目だったが、イギリスはあえて突っ込んだ。
そうしなければ素直に肯定してしまいそうで、そんなの自分らしくない。

「俺は愛の国だからたった一人だけを愛すことはできないけど、それでもいい?」

珍しくイギリスの顔色を窺うような声。
素直になれないイギリスでも、ここでは真面目に返してやる他なかった。

「お前が愛してくれるなら、何だっていい」

遥か昔に願ったことは、もう叶ったから。
作品名:悪の愛 作家名:さっちーお