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ぎとぎとチキン
ぎとぎとチキン
novelistID. 6868
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豆撒きなにそれおいしいの?

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「こんばんは、臨也さん。今日も寒いですね。」
「こんばんは、帝人君。君が寒いのは薄っぺらい服を着ているからじゃないの?恰好いいお兄さんがコート買ってあげようか。」
「わーそんな、悪いから結構ですよ、静雄さん。」
「ん?ああ、そういえば薄着だな。ベスト着るか?」
「いえ!大丈夫です!今は、結構あったかいですから!」
「そうか?ならいいけどな。」
「はい、お気づかいありがとうございます。」
「………アレっ、俺が買ってあげるって言ったのにスルー?」
「え?臨也さん恰好いいお兄さんのつもりだったんですか?………すみません。」
「ねえその可哀想なものを見る目やめてくれないかな幾ら帝人君でも腹立つ。」
「すみません、つい。」
「つい、本心が漏れました、みたいな顔もやめて。」
「ちなみに寒いのは主に臨也さんの存在です。」
「わあ爽やかな笑顔、うん、こんな言葉じゃなかったらもっと可愛かったかな!」
「何言ってんだ、可愛いじゃねぇか。これだからノミは…」
「せめて虫つけて。横着しないで。」
「これだから蚤虫は。」
「……うん、まあ、取り敢えず、さ。」

「この状況の意味、そろそろ聞いてもいいかな?」

臨也は少々引き攣った笑顔を浮かべて、そろそろと足を後ろにずらしていく。
問うてはみたが、なかなかな割合で、答えは分かっていた。
そもそも臨也を前にしているというのに、静雄がキレないという事自体おかしい。
明日は雨か霰かどころではなく、リアルに自販機が降るのかもしれない、というよりは。

「え?臨也さん知らないんですか?今日は、節分ですよ?」
「ああ、そうだぞ蚤虫、今日は節分だ。」

「「だから、豆撒きしないと。」」

臨也の目の前でにっこり(むしろニヤリ?)当然の事のように笑う二人は、どういう訳か静雄が帝人を小脇に抱えているという状態だった。
そしてそんな小脇でハンディカム(ちょっと違う)に抱えられた帝人の腕には、沢山の豆が入った袋が抱えられている。
そして、そんな姿で臨也の前に立ち、豆撒き、と口にしたという事は。

「………もしかしてもしかしなくともその豆…、」
「さて、静雄さん掛け声は、鬼は外!ですよ?」
「ああ、分かってる。」

帝人の言葉に、静雄は笑って、むんずと帝人の持つ袋の中の豆を掴んだ。
すかさずバキバキと音を立てて潰れる豆。
しかし静雄は構わず、その豆(であった潰れた豆)を持った手を、振りかぶる。
そして。

「「鬼はーーー外ぉおおおおお!!!」」

臨也に向かって、投げた。
飛んで来る豆(の欠片)を慌てて避けて、臨也は早々に逃げ出した。
だって豆とは言っても、静雄が投げたものである。
立派な凶器だ。

「ちょっ、シズちゃんの投げる豆とか弾丸と同じだろう!!反則!!」
「自販機の方が危険度は上な気がしますけど…あ、次行きますか、はい、鬼は外ー!!」
「ウザヤ外ーーーーっ!!!!」
「ちょっ!!違う言葉混ざってるなにそれ静ちゃん素?!!」

逃げる臨也、追う静雄&帝人。
幾ら臨也の身体能力が優れているとは言っても、いつもとは違って、分散する武器(豆)である。(しかも割れている)
臨也だって、全部が全部、避けられる訳ではない。

「いたっ!痛いっ!欠片が刺さる!ちょっ、なんで顔ばっか……っ!」
「さあ、静雄さん、臨也さんがいつものイラッとくるドヤ顔浮かべてる所を想像して投げて下さいねー!」
「やべえ、豆が粉になった。」
「え、じゃあ臨也さんのうざいジャケットプレイを想像…」
「豆が消えた。」
「え、そこまで?!いや分かってたけど、ていうか帝人君?さっきから言葉の端々に毒を感じるんだけど!」
「すみません、素です。」
「酷い!」

そして臨也を鬼とした豆撒きは、一部の都市伝説や有名人物を巻き込んで行ったのだった。

「イジメ、恰好悪い!!」

その日這う這うの体で事務所に帰った臨也は、誰も居ない(波江は帰宅済)部屋でちょっとばかし本気の涙を浮かべた。