ぎゅうぎゅうユリフレ
首を捻って背後を見やれば見慣れた金髪が見えて、ユーリはまたか、とため息を零した。枕元の時計を確認すると真夜中もいい時間だった。
冬になると人肌が恋しくなるのか、フレンは時々こうして人のベッドに勝手に潜り込んでくる。しかも、無意識なのだから性質が悪い。つい先日、抱くときにしつこくしすぎたせいか1ヵ月お触り禁止令を出したくせに、早速これだ。無意識って怖い。ユーリはもそもそと寝がえりをうってフレンに向き直ると、抱き寄せてちゃんと布団の中にいれてやる。シングルベッドに高身長の男二人が収まるとかなりきついので、身を寄せ合って寝なければ翌日確実に一人はベッドから落ちている。
「…ん、ゆぅり」
「……」
悩ましげな声を漏らすフレンに身を寄せられて、ユーリは思わず固まった。冬の季節万歳、冬将軍様々。冷静な顔の下で思いつく限りの語彙で冬を称賛してやる。いつもならフレンが起きない程度に触ったりキスしたりして楽しむのだが、甘ったるい声で名前を呼ばれたらそんな悪戯で済ませる自信が無かった。自分で触るな宣言をしておいて自分から覆したんだから俺は悪くないよな、とユーリは胸の内で言い訳すると、するりとフレンの服の下に手を差し入れる。しかしわき腹を辿る途中で、前にも禁止令を食らった時に我慢できずに襲ったら期間延長を言い渡されたのを思い出してユーリは動きを止めた。今フレンを襲うのは簡単だが、その後に待ちうけるお仕置きが地味に辛い。ごくりと唾を飲み込んで、ユーリは理性と戦う。
(生殺しか)
フレンのわき腹を一撫でした手がしぶしぶ戻って、せめて背中に回しておく。こんな体勢で安らかな眠気など訪れるはずもなく、今度金が入ったらやっぱりダブルベッド買おうそうしよう、と適当に気を紛らわせながら、ユーリは腕の中の彼が起きるまでの数時間を悶々とする羽目になった。
作品名:ぎゅうぎゅうユリフレ 作家名:くまつぐ