二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

貴方と君と、ときどきうさぎ

INDEX|2ページ/13ページ|

次のページ前のページ
 

「ま、俺が帝人君を見つけられない訳ないんだけどさ」
一つ、気になる情報があるしここをもう少し叩いていけば─……
「?」
デスクの上にいたうさぎは膝の上にやってくると小さな体を甘えるように
摺り寄せてきたじゃないか。
怒ったと思ったら今度は甘えてきて、気分屋だな。
「構ってる暇ないって言ったばかりだろ」
「…!…!」
違う、そうじゃない、そんな訴えが伝わってくるような、うさぎは頭を左右に小さく
振って言葉では表現しきれない程小さな声で鳴いた。
「何、なんだよ何か言いたいの?それとも本気で俺が好きなんだお前。でも残念。
うさぎには興味はないんだ。俺が愛しているのは世界中の人間だけ。その中で
ナンバーワンは竜ヶ峰帝人君だけどね」
そう言って頭を撫でてやると、擦り寄る行為を止めてじい、と俺を見つめてきた。
え、なに。もの凄い見つめられてるんだが。
「帝人君、うさぎ好きかな」
そういえば前にうさ耳付けて街中歩いてたっけ。あれは可愛かった。




溜めていた仕事もひと段落すると時刻は夜中の二時を過ぎていた。
腹の虫が鳴ったがこの時間では何も口にはしたくない。うさぎは膝の上で
大人しく寝ている。

……少し寝るか。
流石に三時間睡眠は身体に応える。二階の寝室へ行こうとすればこいつもついてくる
だろう。放置しておくわけにもいかないが寝室には連れ込みたくない。うさぎを抱き
かかえて床におろしてやるとほら、また俺の後を付いてくる。放し飼いのままにしておいてその辺を彷徨かれるのも面倒だがケージもなにもないし………
仕方ない、明日波江さんに頼んで餌とケージを買うように頼んでおこう。
彼女が俺に懐いているうさぎを見たらどう思うかな。
「動物でも貴方を好きになるもの好きもいたのね」と皮肉を言われそうだ。

俺は近くの革張りソファーに寝転んだ。少し仮眠をする時はよくここで横になる。
うさぎはソファーの上に上りたいようだが、上手く上れない。ジャンプをしても
あまり高く飛べず、とゆうより下手くそだ。なんだ、うさぎなのにジャンプ下手とか、
とろいな。俺の指を噛んだときは普通にデスクへジャンプしてたよな。なんて回想をしている間に胸の辺りに毛の塊の感触を感じてやっと俺の側に来れたのと薄眼を開けて見ていたがもう限界だ、眠い。温い……………


*****


「……ざやさ……ざや…ん」
聞こえる、あの子の声が。
「ああもうどうしよう、全然起きてくれないよ、そりゃ疲れてるよね…
ずっと仕事していたし…」
可愛いなあそんな困った声を出していないでほら君もこっちにおいで。一緒に寝ようよ。
どうして君は「寝ぼけないでください」と今度は口調を強めて言うんだい?…………ん?
「あ、目が覚めましたか?」
暗がりでもはっきりとわかる。見間違えるわけがない。
「………みかど、くん……?」
「はい」
帝人君がいる。目の前に。俺のトレードマークともいえる黒いコートを着たまま。
前はしっかりと閉めていているがコートの袖を両手で下に伸ばし、すらりと細い生足の
ままだ。
「あ、あの、すみません勝手にコートを借りてしまって…」
まて、とりあえず冷静になろう。うん。目の前には彼ジャケ帝人君がいるだけだ。
何この美味しい展開。だって俺達まだそこまで進むような関係じゃなかったよね。
え、なんで生足まるでその下は何も着ていませんと物語っているとしかいや帝人君だし
実はその下は服を着ていたとかどうせ俺の夢をぶち壊す現実でしょいやそれよりもなんでここにいるのか─
「その、……ちゃんと状況を説明しますから、…ふ、服を貸して頂けませんか?」
帝人君は消え入りそうな声で「この下…な、何も、着てないんです」と、顔を真っ赤にしながら言った。



帝人君は俺が好きだ。俺も帝人君が好きだ。愛している。そう、俺達は両想いだ。
何の障害もない。だからボロボロと泣きながら「ごめんなさい…好きなんです」と
告白された時の高揚感と言ったら一生忘れられない出来事だろう。晴れて恋人同士に
なれたと言いたいところだが俺達はまだ何も進展していなかった。帝人君は告白する
だけして全速力で逃げられてしまったからだ。
「へ、返事は聞かなくてもわかっていますから!」と、言い残して。
それは君が消える二日前の事。
情けない。すぐに追いかけて捕まえるなんて簡単なのにそれができなかった。



で、この状況はなんだ。突然夜這いなんてできる性格か?
思い返せば相当な間抜け面をしていたよ絶対。
冷静とか無理でしょ。好きな子が朝方に彼ジャケ生足とかなんのイベントだ。
そういえばうさぎの姿が見当たらないな、ずっと俺の側を離れなかったのに。
何処に行ったんだ。


「…服、ありがとうございました」
「どういたしまして」
俺の服着た帝人君とか可愛い!適当に上下黒のシャツとズボンを貸してやったが
やはり丈が長かったようで折っていた。コートに生足も危険だがこれはこれで
そそるものがある。
「さてと。聞きたい事が山積みなんだけど、どうして帝人君がここにいるのかな」
「その、話せば長くなるのですが…あの、うさぎ、いましたよね」
「ああそうそう、さっきっから姿が見当たらなくてね。その辺にいると思ったんだけど」
「それ僕です」
「またまたー」
「嘘じゃないです。さっきまで臨也さんとずっと一緒にいたうさぎは僕なんです!
だって僕ずっと臨也さんの膝の上でお仕事見てましたから、その…僕の事も…色々と
調べて探して、くれていました、し……」
最後の方はごにょごにょと小声になって聞き取れなかった。
え、なんで俯いて赤くなってるの。
「ククッ…苦しい嘘だね」
「はあ…全然信じていませんねその顔……実際見てもらった方が早いか」
帝人君は小さく息を付くと顔を近づけて、一瞬躊躇ったように動きを止めるが、
彼の腕が俺の首に絡み鼻先が当りそうな程近づいて、唇にキスを落とされた。
瞬間ボワンと爆発並みな煙が辺りを包み込みぼて、と腹の上に重みを感じて
見ればうさぎだ。

「…………………」
「…………………」

帝人君がうさぎでうさぎが帝人君。


「理解してくれましたか?」
「うさぎが喋った!!!!!」



真っ白なうさぎは本当に帝人君だった。