ある王子の恋物語
だが...
だが...
この薄いようで分厚い画面越しに運命の相手を見つけた今...この環境は不満だらけだ!
---今日も運命の姫は-----
「臨也さんお疲れ様です。少し休憩しませんか?」
「ありがとう。さすが帝人ちゃんだね!丁度コーヒー飲みたいって思ってたんだよ」
クスクス笑いながら臨也の前にコーヒーを置く姫をパソコン画面から静かに見つめる。
姫こと竜ヶ峰帝人と初めて出会ったのは数週間前にさかのぼる。
私は臨也に作られた人工知能をもったプログラムシステムだ。その私を紹介するという事で姫と運命の出会いを果たした。目をキラキラさせて私を見つめる姫に、私は一気に惹き寄せられ彼女こそが運命の姫だと強く想った。その時はまだ言語を理解できても伝える術をもっておらず、この気持ちを伝えることはできなかった。
でも、姫はほぼ毎日のように臨也に会いにきて、そんな姫を見つめるうちに私は一つわかってしまった。
臨也と姫の関係に....
「ちょ、い、臨也さん!何やってるんですが?!!だ、ダメですってば!!」
「えー...いいじゃん。帝人ちゃん補給しないと俺死んじゃうよ?」
「それだったら静雄さんは大喜びですね...」
「ちょ、彼氏の前で大っ嫌いな静ちゃんの名前なんか出さないでよね!!そんな悪い子な帝人ちゃんにはお仕置きが必要だよね?」
「きゃ!!い、臨也さんダメ、ダメですったら!!...って聞かないんですよね...。もう...しょうがないですね...」
意地の悪い笑みを浮かべて御姫様抱っこをし、そのまま隣の部屋へ姫を連れて行ってしまった。
(姫を優しく抱きかかえていいのは私だけだというのに...!!)
あまりの悔しさに噛みすぎた唇からは血の味がした。
同じ顔
同じ声
それなのに、選ばれたのは私ではない。。。
運命の姫を取り戻す事が出来るのならば私は悪魔にでも魂を売ろう。
さぁ、姫をこの手に________